孫子の兵法


 「百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するが善の善なるものなり」有名な孫子の兵法の一節だ。戦に百戦百勝するのが最善ではない、戦う前に勝敗を決するのが最善の戦略だ、という意味だ。

「失敗から学ぶ」というコラムで、人様の失敗を題材として未然防止対策を毎週検討している私としては、無視できない言葉だ。争いを好まない性格なので兵法とは距離を置いていたが、ちょっと勉強してみようと書籍を開いてみた。

超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール

なんだか安直なタイトルだが(笑)漢文読み下しの本を訳が分からず読んで眠くなるよりは良さそうだ。

「五事を整え、七計によって自他の実力を比較することで、実情をつかむ」
五事とは、道・天・地・将・法のことだ。
ちなみにソフトバンク孫正義の「孫の二乗の法則」 は、この五文字に更に20文字を足して5×5=25(5の二乗)文字で成功哲学を語っている。

「孫の二乗の法則 孫正義の成功哲学」

その五事の意味は
道:道徳、道理
天:天命、タイミング
地:地の利
将:リーダー
法:制度

これらの五つが整っていなければ戦いに勝つことはできない。

七計とは
主:主君が道に適っているか
将:将が優れているか
天地:タイミング、地の利があるか
法:組織の制度が整っているか
兵衆:兵卒の力量
士卒:将校の統率力
賞罰:将校、兵卒の働きが適正に評価できているか

これらの七つの観点で敵方と比較し勝算の有り無しを判断する。

勝算がなければ戦わない。五事を徹底的に磨き相手方の戦意を喪失させる。こういう戦い方ができれば、無駄な消耗戦や負け戦に巻き込まれることはない。

書籍にはこんな例が出ていた。
英文科を卒業した若者が、翻訳や通訳の会社に就職すると、同じような経歴の人が大勢いて頭角を表すことができない。しかし興味を持っている服飾業界に就職すると、英語能力が武器となり同期との差別化ができる。
漢文読み下しの書籍にはこういう事例はないだろう(笑)

中国には2500年も前からこういうことを考える人がいた、ということだ。
縁があり中国で仕事をさせていただいている我々も、こういう教えを吸収したいものだ。


このコラムは、2017年8月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第551号に掲載した記事に加筆しました。

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