責任を負う自由


「責任を負う自由を与えれば、人は内に秘めている能力を発揮する」
スカンジナビア航空の社長カール・ヤンソンの言葉だ。
出典:「コーチングの技術」菅原 裕子著

「責任を負う自由」と言う言葉に違和感を持たれるかも知れない。
例えば、新製品の立ち上げに失敗したら責任を取って辞職する、と言うのは責任を負っているとは言えない。リーダが会社を辞めても、新製品の生産はスタートしない。

新製品立ち上げプロジェクトで「責任を負う自由」は次の様になるだろう。
新製品の立ち上げにコミットし、そのために必要な事柄に裁量権を与えられた状態。
例えば、
・必要なだけ残業しても良い(笑)
・必要な情報が手に入る。
・必要なリソースを使う事が出来る。
・アイディアを否定されない。
こういう状況に置かれれば、内に秘めている能力を発揮出来るだろう。

経営者として、いきなり若手の部下にこのような自由を与える事は勇気が必要だろう。しかし責任を取る自由を与えずに、能力を120%引き出す事は困難だ。

私はQCC活動が、「責任を負う自由」を体験する機会であり、訓練課程になると考えている。

前職時代に、設計、営業、生産管理、品証だけの事業部でQCC活動の推進役を担当していた。製造部門などはQCC活動に積極的に取り組むが、間接部門ばかりの事業部では、QCC活動の年間完結テーマ件数のノルマ達成にしか興味がない状態だった(苦笑)
この様な状況を払拭するため、「責任を負う自由」として活動資金を提供する活動テーマを募集した事がある。

数件活動テーマの応募が有った。しかしどのテーマも金のかかる活動内容ではなかった。彼らに取って「責任を負う自由」は金銭の問題ではなかった様だ。就業時間中に活動する価値のあるテーマだと認められた事が「責任を負う自由」と感じられたのだろう。

弊社は、複数の企業合同でQCC活動を実践する「QCC道場」を開催している。第一期QCC道場でに参加いただいた経営者様は、参加理由をメンバーに改善活動の楽しさを体験させたかった、と語ってくださった。参加された4サークルは、短期間の活動にも関わらず、年間効果金額10数万元から300数十万元の成果をあげた。彼らは「責任を負う自由」を体感出来たと思う。そしてその後もQCC活動を継続しておられる。


このコラムは、2017年8月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第549号に掲載した記事に加筆しました。

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