先週は切断加工時に端材が出るという問題に対して、どのように課題定義をすれば良いかという事例について書かせていただいた。参照:「端材」
今週は別の事例を紹介したい。
板材をコの字形に曲げる加工がある。ベンディングマシンの稼働効率を上げると言う課題を設定して、2人作業で次の様に加工している。
横長のベンディングマシンの左右に一人ずつ作業員がつき、2人同時に作業する。一カ所曲げて材料を押し込み2カ所目を曲げる。曲げ終わると加工済み置き場におき、次の平板をとりベンディングマシンにセットするという手順だ。
この作業でベンディングマシンの効率は上がる様に見える。
しかし1回目と2回目の曲げ位置が異なるので、位置出しの当て板が使えない。あらかじめ加工位置にケガキ線を入れておく必要がある。二人同時の作業なので取り置き作業が干渉し手待ちが発生する。
ベンディングマシンの稼働率は上がるが、一人当たり生産効率は下がっている。
ベンディングマシンの2カ所に当て板をおけば、ケガキ線を入れると言うムダな作業は発生しない。一人目は材料をセットし、最初のラインを曲げ加工する。同時に二人目は二番目のラインを曲げ加工し、加工済み品を取り置く。加工済み品の取り置きの間に、一人目が加工中の材料を位置替えし未加工材料をセットする。
このように作業すれば、最初と最後の一枚の加工時に一人分の手待ちが発生するが、一人当たりの作業効率は上がる。
もし次工程が要求する量を確保出来るのならば、一人作業も可能だ。
この場合の課題は、加工機の稼働率を上げる事ではなく、一人当たりの加工効率を上げる事だ。
このコラムは、2016年9月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第495号に掲載した記事に加筆修正しました。
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