樊迟(1)问仁,子曰:爱人;问智;子曰:知人。樊迟未达(2),子曰:举直(3)错诸枉(4),能使枉者直(5)。樊迟退,见子夏(6),曰:乡(7)也,吾见于夫子而问智,子曰:举直错诸枉,能使枉者直,何谓也?
子夏曰:富哉言乎。舜(8)有天下,选于众,举皋陶(9),不仁者远矣。汤(10)有天下,选于众,举伊尹(11),不仁者远矣。《论语》颜渊第十二-22
(1)樊迟:孔子の弟子。樊遅、字は子遅。
(2)未达:まだよく理解できなかった。
(3)举直:正直な人を登用する。
(4)错诸枉:正直な人をよこしまな人(枉)の上に置く(错)
(5)使枉者直:よこしまな人を正直者に変える。
(6)子夏:子門十哲の一人。姓は卜、名は商。字は子夏
(7)乡:さきほど。
(8)舜:中国神話に登場する君主。
(9)皋陶:舜帝の臣。法を制定し司法長官となる。皐陶が法を司るようになると悪人が減ったという。
(10)汤:湯王。殷王朝初代の王。
(11)伊尹:湯王の臣。夏の桀王を打倒。殷建国の名臣と言われる。
(2)未达:まだよく理解できなかった。
(3)举直:正直な人を登用する。
(4)错诸枉:正直な人をよこしまな人(枉)の上に置く(错)
(5)使枉者直:よこしまな人を正直者に変える。
(6)子夏:子門十哲の一人。姓は卜、名は商。字は子夏
(7)乡:さきほど。
(8)舜:中国神話に登場する君主。
(9)皋陶:舜帝の臣。法を制定し司法長官となる。皐陶が法を司るようになると悪人が減ったという。
(10)汤:湯王。殷王朝初代の王。
(11)伊尹:湯王の臣。夏の桀王を打倒。殷建国の名臣と言われる。
素読文:
樊遅仁を問う。子曰わく:人を愛す。知を問う。子曰わく:人を知る。
樊遅未だ達せず。子曰わく:直きを挙げて諸を枉れるに錯き、能く枉れる者をして直からしむ。
樊遅退き、子夏を見て曰わく:郷に吾夫子に見えて知を問うに、子曰わく、直きを挙げて諸を枉れるに錯き、能く枉れる者をして直からしむ、と。何の謂いぞや。
子夏曰わく:富めるかな言や。舜天下を有ち、衆より選んで皐陶を挙ぐれば、不仁者遠ざかる。湯天下を有ち、衆より選んで伊尹を挙ぐれば、不仁者遠ざかれり。
解釈:
樊遅が仁の意義をたずねた。子曰く:“人を愛することだ”
樊遅がさらに知の意義をたずねた。子曰く:“人を知ることだ”
樊遅はまだよく理解できなかった。子曰く:“正直な人を挙用して、よこしまな人の上におくと、よこしまな人も自然に正直になるものだ。”
樊遅は室を出て、子夏を見るとすぐ尋ねた。“さきほど、夫子に、知について尋ねました。夫子は、まっすぐな人を挙用して、まがった人の上におくと、まがった者も自然に正しくなる、といわれましたが、これはどういう意味でしょうか。”
子夏曰く;“含蓄の深いお言葉だ。昔、舜帝が天下を治めた時、衆人の中から賢人皐陶を登用し宰相に任じたら、不仁者がすがたをひそめたのだ。また殷の湯王が天下を治めた時、衆人の中から賢人伊尹を登用して宰相に任じたら、不仁者がすがたをひそめたのだ。”
国を治めるためには主君が仁,直でなければならないが、それに使える家臣も仁、直でなければ民衆を治めることはできない。国でなくても組織でも同様でしょう。