xbar-R管理図は、長さとか重さとか電圧などの計量値で工程能力を管理するときに使える非常に便利なツールです。
実際にばらつきは分散とか標準偏差で現されますが、工程内でリアルタイムに監視するのはちょっと骨が折れます。そのため標準偏差の変わりにR(レンジ、最大値と最小値の差)で代用します。平均値(xbar)とRで中心値のずれ、ばらつきを監視するわけです。
過去からの数値から、その工程の実力がわかるので、上限限界と下限限界を計算できます。(詳しくは、こちらのコラムに解説しておきました)この限界を超えていれば、即座にラインを止めて原因を探る。と言うように使えます。また限界を超えていなくても、単調増加、単調減少、中心から片側への偏りの傾向が見られれば何か問題が発生しかかっているわけです。
サンプルは普通5個くらいなので、現場でも簡単に電卓をたたけば管理図がつけられます。間違っても仕事が終わってからまとめて計算しようとなど考えてはいけません。この管理図はリアルタイムに工程能力の変動を監視できるところにメリットがあります。
例えば金属加工などで仕上がり寸法をxbat-R管理図で監視していれば、バイトの磨耗などが早期に発見できて、たくさん不良を作ってしまうようなことがありません。
最近ではお客さんが監査にこられたときに、統計的工程管理をしていますか?と聞かれることが結構あります。監査官の力量によるのですが、何でもかんでも管理図を張り出してあれば安心すると言う悪い傾向があります。委託先もお客さんに言われるものだから、無意味な管理図を張り出しています。管理の為の管理になってしまっており、困ったものです。
例えば、半田槽の温度をxbar-R管理図で監視していたりする。ちゃんとできていれば、加熱ヒータの劣化などが事前に分かり、予防保全することができます。しかし温度測定器の精度がそこまでなくて最後の1デジットをふらふらしているだけ。監査官も一緒になって平均値がふらふら(0.1℃の範囲で)している原因を考えたりと、非常にこっけいです。Rなんて常に一定ですから。
ちゃんと目的を明確にして、それに見合ったデータを取らねばなりません。またサンプルを抽出するタイミングも、工程能力や目的をにらんで適切に設定しなければなりません。
例えば、部品の受け入れ検査でxbar-R管理図をつけていると、規格には入っているけれどベンダーさんの工程で何か問題が発生していることが見えてきます。こういう場合に即座にアクションを起こすとトラブルの未然防止ができるわけです。