設備のメンテナンス


製造現場でのエンジニアの設備メンテナンスに疑問を持つ局面がしばしばあります。
例えば、ラインで半田槽のスプレーフラクサの動作が緩慢になっているのを見つけました。このような状態は作業者やリーダが気がついているはずなのですが、なかなか声として上がってきません(これについては別の機会に改めて書きます)。
すぐ半田槽のメンテナンス担当のエンジニアを呼び、状況を見せる。すると彼は、ひょいっとスプレーフラクサの駆動用の空気圧をあげて終わりです。問題点に対して原因を追究すると言う姿勢がほとんど見られません。これは中国だけの話ではないかもしれません。最近の日本でもこのような局面はないでしょうか?
メンテナンスをしているエンジニアにしてみれば、フラクサのノズルの動きが遅いので、空気圧を上げて早く動くようにした。彼にしてみれば、ちゃんと因果関係の整った道理なのでしょう。しかしなぜ遅いのか?昨日まで同じ空気圧で早く動いていたはずです。これが本当の因果関係です。ここをきちんと追求しないで、空気圧だけあげるのは原因に蓋をして対策だけするようなものです。後日また同じ問題が発生し、ついには空気圧をあげきってしまいます。
要はノズルの駆動部分にフラックスが付着してきて動作が遅くなっていると言うことを、見抜けないまま空気圧だけをあげると、フラックスがますます付着してこてこてになってしまいます。空気圧などあげないで、洗浄してやれば、何事もないわけです。
非常に簡単な実例を示しましたが、現場で起こっていることはもう少し複雑です。ラインにいるエンジニアやリーダにOJTで教える絶好の機会です。ここで現場で教えるだけではなく、これを後日もう一度机上で教えるのです。このように暗黙智→形式智の変換を通してやることにより、知識の共有ができると思います。場合によっては作業標準に落とし込むこともできるでしょう。