【ニューヨーク=中前博之】米国のベビー用品メーカーのデルタ・エンタープライズ社は21日までに、中国などで製造されたベビーベッドを使用して乳幼児2人が死亡する事故があったとして、約160万台のベビーベッドをリコール(回収・無償修理)すると発表した。日本で流通しているかどうかは不明。
同社は死亡例の詳細は言及していないが、ベビーベッドの両側の柵を支える留め具に不備がある可能性があるという。同社はウェブサイト上で、2006年以前に中国で製造されたベッドは「直ちに使用を中止」するよう呼び掛けている。
ロイター通信によると、ベビーベッドは中国のほかに台湾、インドネシアでも製造されている。
(NIKKEI.NETより)
また中国製だ,という論調の記事である.
タイトルには「中国製ベビーベット」と書いてあるが,記事の最後に申し訳程度に「中国の他に台湾,インドネシアでも製造されている」とある.
詳細を米国の消費者製品安全委員会のホームページで確認してみると,これは工場の製造問題ではなく,設計上の問題のように見える.
ベビーベットの柵を固定しているピンが外れるかなくなっているのに気が付かず,柵が落ちて幼児が挟まれたようだ.
デルタ・エンタープライズ社も回収はしていない.
交換用の固定ピンもしくは改造用の固定ピンを製品にあわせて送ってくれるだけである.
この製品を特定するために「中国製」「台湾製」「インドネシア製」という言葉が出ているだけである.
昨今,中国製食品問題や,中国製玩具問題などが多発しており,またもや中国の工場の問題と決め付けて記事を書いたのではなかろうか.少なくとも同社のホームページを見れば,リコールしているという記事はかけないはずである.
この調査の過程で,以下の工夫が参考になった.
交換用の固定ピンは,従来の物と色が変えてある.
これは固定ピンの付け忘れ,脱落などを看える化するためだ.
意匠デザイン的には違和感があるかもしれないが,初めからそのようにデザインすれば違和感なくデザインできるはずだ.
このベビーベッドのように利用者が組み立てをする製品については,このような工夫がリスク回避につながるだろう.
また生産工程内でも,工程飛ばしを防ぐためのアイディアに応用できそうだ.
このコラムは、2008年10月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第57号に掲載した記事に加筆しました。
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