中国では法律・ルールはしばしば個人の判断で「特別運用」される


 先日は出張先から戻るためにバスターミナルで待っていた.待てど暮らせどバスは来ない.たまたまバスターミナルの外に目をやったら,私が乗りたいバスはバスターミナルに入らずに外で乗客の乗降をしていた.
ターミナルの乗降位置には行き先もきちんと表示されており,朝確認をしたときにはその場所で乗客の乗降をしていた.たぶん運転手が何らかの理由により,バスターミナルをショートカットして乗客を下ろし出発してしまったのだろう.
たとえ苦情を言うことができたとしても,車掌がちゃんと声をかけたとか,ターミナル内が混んでいたとか,100も言い訳が帰ってくるだけである.
工場内も同様である.しばしば決められたことが守られない.叱れば言い訳がどっさり帰ってくる.ほとんどの場合が,決められたことの意味や意義を理解していないからだと考えている.
ある工場で,バッチ生産になっている設備のところに完了時刻を表示しておくように指示をした.この完了時刻までに次のバッチの準備を完了させるよう,作業員に目標を持たせるためであった.
ところが次回訪問時に,完了時刻が過去の時刻のままになっていた.守れない理由を考えて,きちんと守るようにと指示をした.
しかしその次の訪問時には,表示板そのものが撤去されていた.
その職場の責任者が,守れないならばやめてしまえ,と言ったそうだ.製造のトップの人物である.大いに落胆した.
しかしここであきらめてはいけない.もう一度説明をしなおし根気強くルールを守らせる.人を育てるのは情熱と忍耐が必要である.