5Sがなかなか定着しないと悩んでおられる経営者の方にトップの5S巡視をお勧めしている.
定期的に巡視をして各職場の「3S(整理・整頓・清掃)+安全」を見て回る.
これをトップがやる意義は大きい.
まずトップの本気度を全員に知らせることができる.
次に5Sの合格基準を全員に理解させることができる.
あなたの工場,オフィスには5Sの合格基準はおありだろうか?
たとえば整理・整頓はどのくらいの状態になっていたら合格といえるか.清掃はどのくらいきれいになっていれば合格といえるか.これらを統一した数値基準で示すのは難しい.
管理者によっても基準が変わってしまうだろう.
そこでまずトップが職場を回って基準を示す必要がある.
ある職場では床をピカピカにしてある.そのため毎週ワックスをかける.ピカピカにしすぎて誰かが滑って転んだら笑い話にもならない.
5Sはプロフィットを目指して行われるべきである.基準をきちんと示しておかないと無駄な5Sになってしまう.
5S巡視では直接現場のリーダ・作業員に指示をする.管理者に後できれいにしておくようにと指示をするのではない.その場で5Sの乱れを指摘し処置をさせる.これで現場のリーダ・作業員が5Sの基準と目的を理解できる.
例えば作業じまいの清掃の時間帯に巡視をしてみる.
私は清掃時間にとんでもない光景を見たことがある.作業員が,ラインに設置された検査用コンピュータのキーボードを水が滴る雑巾で拭いていた.その場で班長と作業員を集め,コンピュータの清掃方法を教えた.
現場では我々の想定外のことが発生しているものだ.
5Sに限らず,時々職場を一回りすると,いろいろな改善点が見えてくる.
残業時間帯,二直目の作業時間帯など時々巡視をしてみると現場の管理レベルがわかる.
いつ工場長が巡視に来るか分からない状態にしておけば,作業員も緊張感を持って作業をすることができる.