三種の鏡


夫れ銅を以って鏡と為せば、以って衣冠を正す可し。
古を以って鏡と為せば、以って興替を知る可し。
人を以って鏡と為せば、以つて得失を明かすにす可し。
朕常に此の三鏡を保ち、以って己の過ちをして防ぐ。

中国の古典『貞観政要』の一節だ。じょうがんせいようとは唐代の皇帝・太宗の言行録と言われており、政治の要諦が記されている。

青銅鏡で己の姿を映せば、衣冠の乱れを正すことができる。
過去の事例に学べば、興替こうたい(盛衰)を知ることができる。
人の意見を聞けば、己の過ちを知ることができる。

上に立つ者の心得として心に留めたいと思った。
「自分の姿を見直す」「過去に学ぶ」のは普通にできるだろう。

一番難しいのは「人を以って鏡と為す」だろう。
信頼する上司・先達の意見は聞けても、年少者・部下の進言はなかなか素直に聞けないものだ。当然年少者や部下が年長者・上司に進言するには勇気がいる。
その言いにくいことを、勇気を出して言ってくれている、ということに感謝すべきだ。
人を以って鏡を為すの要諦は「虚心坦懐」だ。


このコラムは、2020年2月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第936号に掲載した記事です。

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