中国の拡大政策が止まらない。『一路一帯』と称してアジアから欧州まで、アフリカ大陸、ニュージーランド、北極圏まで手を伸ばしている。それらの国々は中国からの資金に期待しているように見える。しかし借入金を返済できなければ、領土を取られる。チベット、香港の人々は相当抑圧されているように見える。
一方で、日本は米国に原子力爆弾を投下され国中を焦土にされ占領された。
しかし現代の日本国民の大方は「鬼畜米英」などとはいわない。むしろ米英に親近感さえ抱いている。この違いはどこから来るのだろうか。
少年期を「ALWAYS三丁目の夕日」の時代で過ごし、高度成長とともに成長した世代の私にとって、アメリカは憧れだった。「名犬リンチンチン」「名犬ラッシー」「ライフルマン」「ザ・ルーシー・ショウ」「パパは何でも知っている」などのテレビドラマが世界に開いた窓だった。
今思えば占領国である米国は、それらTVドラマのソフトパワーで戦後の新世代を「洗脳」し親米国家を育て上げた。さらに占領軍が派遣したデミング博士の教えにより、日本は米国と比肩しうる工業国家に成長した。
その後もロカビリー、ポップス、映画などのソフトパワーで親米日本人を育成し続けている。
70年安保の頃、毛沢東語録を胸のポケットに持った学生が多くいた。しかし中共も毛沢東も日本人に何ら夢を与えなかった。夢を失った革命闘士は内ゲバに走り、自ら消滅していった。
第二次世界大戦後の覇権国家・米国はソフトパワーで世界を制し、その後中国が、金と軍事力のハードパワーで世界覇権を狙っているように思える。
2500年前中国は老子、孔子などの偉大な思想家を持つソフトパワー国家だった。
残念ながらそのソフトパワーは引き継がれていないようだ。
孔子は政治家を「噫、斗筲の人、何ぞ算うるに足らんや。」と嘆いている。(《論語》子路編第十三-20)
孔子には現在の中国が見えていたのだろうか。
このコラムは、2019年11月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第906号に掲載した記事を改題・加筆しました。
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