抵抗勢力


 改革には抵抗勢力がつきものだ.
本当に切羽詰った状態に追い込まれないと,改革に対する不安が,期待より大きくなってしまう.

先週ご紹介した鄭社長は,改革に付いて来れない幹部を退職させている.長年自分を支えた,副総経理クラスの幹部も例外はなかったそうだ.改革に伴う最大の痛みだったと言っておられた.痛みを伴っても改革をしなければならないという強い信念があったからだろう.
我々のような,外部コンサルには出来ないことだ.

私はまず改善チームのメンバーを集め,改革後の夢を決めてもらっている.
「華南地区で日系顧客から検品免除をもらった家具メーカになる」とか「中国で一番生産効率の高い自動車部品工場になる」といった具合に,大きな目標を自分たちで決めてもらう.

人から与えられた目標ではなく,自分たちで決めた目標の方が達成に対するコミットメントが強くなるはずだ.

しかしここまでしても,実際の現場改善で「出来ない理由」をたくさん並べて腰が重くなってしまうことがままある.従来と違うことを始めようとすると,関連部署が各々に自分たちへの影響を恐れ出来ない理由が山ほど出てくる.当然変化をさせれば,色々な所で歪が発生する.歪が出ることは想定内だ.出てくる歪をその都度改善してゆくことにより,全体が改善される.

まずは初めの一歩を踏み出すことだ.

まずはやってみる.どうしてもだめなら元に戻す.元に戻しても改善を諦めなければ,必ず改善は出来る.

あのトヨタでさえ,「一個流し.不良が出たらラインを止める」という当事効率が悪いと思われていたモノ造りに挑戦し,何度か元に戻している.それでも諦めなかったから今のトヨタ生産方式が出来上がったのだ.

まずは現場のリーダに改善の勇気を持たせることが重要だ.


このコラムは、2010年12月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第185号に掲載した記事です。

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