ホームの客の手、ドアに挟んだまま90メートル 愛媛


 6日午前10時ごろ、愛媛県西条市小松町のJR予讃線伊予小松駅で、松山発観音寺行きの普通列車(1両編成)が同市に住む乗客の女性(75)の手をドアに挟んだまま出発。女性は約90メートル引きずられてホームから転落し頭や足などに軽いけがをした。列車の乗客10人にけがはなかった。

 JR四国によると、伊予小松駅は無人駅で運転士がホームの鏡を確認するなどして出発する規則だが、運転士の男性(28)は「異常がないと思い出発した」と説明しているという。ホームにいた人が気付き110番通報した。列車は気付かずそのまま走り続けたという。半井真司・鉄道事業本部長は「けがをさせてしまい大変申し訳ありませんでした。再発防止を徹底します」と謝罪した。

(asahi.comより)

 車両の扉には,完全に閉まったことが確認されるスイッチがついているはずだ.女性の手が挟まっていてもそのスイッチが作動しなかったのだろうか?もしくは扉が閉まっていないことはランプなどで表示するだけで,運転手の見落としがあったのだろうか?

私も以前終電の車内で,上着を挟まれそのまま電車が発車したことがある.このようなヒヤリ・ハット事故は無数にあるはずだ.ヒヤリ・ハットを放置せずに改善する姿勢があれば,列車の扉開閉センサーは違う形になっているはずだ.光センサーを使った方式にすれば,完全に防げる事故だろう.

また開閉センサーは,ブレーキとインターロックをかけておき,扉が閉まっていなければブレーキが解除されない方式にしなければならない.

「伊予小松駅は無人駅で運転士がホームの鏡を確認するなどして出発する規則」と言う規則も理解ができない.運転手はホームに降りて,扉が閉まったことを確認の上発車すべきだ.

電車の扉開閉センサーをすべて交換するには,それなりのコストが必要だ.
安全とコストをトレードオフにすべきではないが,上記の運転手による確認動作の変更には,コストや運行効率にはなんら影響が無いだろう.

「再発防止を徹底します」と言うのは当たり前だ.
私たちが製品開発や,工程設計時に使っているFMEA(潜在故障モード効果解析)を使って,潜在事故に対し未然防止対策を検討すべきだ.

工場でも,従業員の安全,顧客の安全は最優先しなければならない.
あなたの工場でもFMEAを活用されているだろうか?


このコラムは、2010年12月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第183号に掲載した記事です。

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