朋有り遠方より来たる,亦た楽しからずや


 突然の電話だった.
昔生産委託をしていた電源メーカの,技術担当副社長が電話をしてきた.4年ぶりの再会だ.

10年ほど前に,彼が生産委託先を退職すると聞いて,ウチに来ないかと誘った.その時彼はまだ40代半ばだったが,そろそろ後輩の育成をする年齢だからと,日本に来ることを断った.
その彼の言葉に影響を受け,後に私は独立し今の仕事を始めた.私の場合は彼とは逆に,中国人の若者を育てようと中国に来た.

4年前に会った時は台湾のコンピュータメーカのASUSに勤務していたが,今はASUSの子会社の経営をしている.しばしば中国工場に出張に来ていると言う.

人づてに私の電話番号を聞きだし電話をかけてきてくれた.
懐かしい話と共に,電源工場経営の苦労を語り合った.
一昔前とは経営環境がまるで変わってしまっている.人件費の高騰,作業員の採用難,などなど経営環境は逆風だ.しかも電源ユニットの市場価格は,どんどん低下している.しかし安全重要部品として,電源に対する品質,信頼性要求は緩まることは無い.

彼は18年間中国の工場経営をしている工場長を説き伏せて,70人あまりの生産ラインを30人弱にまで減らしたそうだ.しかも時間当たりの生産量は800台が450台.一人当たりの生産能力は,30%以上アップしている.彼も私と同じ考えにいたったようだ.

昔彼がいた生産委託先で,工程内不良率100ppm以下の量産ラインを構築したことがある.今は,多品種少量生産で,高品質,高効率,高フレキシビリティの生産ラインを立ち上げなければならない.

ここ数日,華南地方は冷え込んでいるが,彼が手土産に下げて来たウィスキーで暖かい夜が過ごせそうだ(笑)


このコラムは、2010年12月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第184号に掲載した記事です。

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