#04:整理・整頓の対象は物だけではない


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5Sの騎士ドン・キホーテの如く
整理・整頓しなければならないのは物だけではない。
時間、方法、戦略など物以外も整理。整頓の対象となる。

前回までのコラムで整理と整頓の説明をした。整理とは必要なモノと不要なモノを区別し、不要なモノを捨てること。整頓とは、決まったモノを決まった場所に、決まった量だけ、表示をして置くこと。以上が整理・整頓の定義だ。
ここで「物」ではなく「モノ」と表記している点にご注意いただきたい。整理・整頓の対象が「物」だけではないので「モノ」と表記している。ここでいう「モノ」とは、製品、部材、サービス、人、時間、技術、方法、情報、資金など、顧客に価値を提供するために必要なすべてのモノである。

時間を整理・整頓
一日の仕事をしている時間は、作業をしている時間とムダな時間に分けることができる。ムダな時間とは作業をしていない時間。次の作業に取り掛かるまでの空き時間、ボーっとしている時間のことだ。この時間が整理の対象である。
更に作業をしている時間は、顧客に提供する付加価値を生む時間と。付加価値を生まない時間に分けられる。
つまり、段取り換えなどの準備は、必要な作業ではあるが、顧客に提供する付加価値は生んでいない。会議の準備、企画のアイディア出しなどが、必要だが付加価値を生んでいない作業だ。
しかし、この必要だが付加価値を生んでいない作業が、仕事の出来栄えを決定する。従ってこの時間は捨ててしまうわけには行かない。効率を上げなければならない。
効率を上げるためには、現状と理想状態を見える化する必要がある。ここで整頓の登場だ。
例えば、企画を検討しているのか、それともぼんやりタバコを吸っているのか、分かるようにする。つまり「考える」ことに行き詰まって「悩んでいる」状態にならないようにすればよいのだ。
生産現場も同様だ。未検査品と検査済み品の区別はつかない。整頓により、未検査品と検査済み品の置き場所を明確にすることで、区別がつくようになる。

戦略とは捨てること
かのピーター・ドラッカーは「改革の戦略とは捨てることなり」と言い切っている。改革する組織は、明日のために昨日をも捨てる。陳腐化した方法、過去の栄光など、改革に不要なモノは捨てる。5S で言えば整理だ。
捨てるためには、必要なモノと不要なモノが常に見えるようになっていなければならない。それが整頓である。
必要な作業と不要な作業を区別して、不要な作業を整理する。そのためには、作業がどうあるべきか整頓しておく必要がある。何を、どんな方法で、どんな道具を使って、どれだけの時間で、どのようにするのか、明確にしなければならない。作業の標準化である。
必要な事業と不要な事業を区別して、不要な事業は整理する。そのためには、それぞれのビジネスの状態を整頓し、見える化が出来ていなければ判断は出来ない。
同様に経営理念、経営ビジョンも整理・整頓をする。

【今月の一言】
経営とは整理・整頓なり

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5S実践研修

本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2011年10月号に寄稿したコラムです.