リーダのあり方


 先週は三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長の退任に関連し、指導者のあり方について考えた。

先週の記事「小売業界の顔、噴出した社内の不信」

書籍から老子のリーダ論についてご紹介した。
「世界最高の人生哲学 老子」守屋洋著

君主四段階。
一番ダメな君主は人民から侮られる。
二番目は人民から畏れられる。
三番目は人民から敬愛される。
最も優れた君子は人民に存在を知られているだけだ。

最も優れた君子の例として、飼い犬に散歩してもらっている老夫婦の事例を紹介した(笑)

この記事に読者様からご感想をいただいた。

※S様のメッセージ
 今週の「亢竜の悔い」は「従業員の物心両面の幸せを追求」する視点を持てば価値の薄い改善活動を強いることもなく、自然にやるべきことが見えてくることに気付かせていただいたようです。

こう言うメッセージをいただくと舞い上がってしまう(笑)

調子に乗って、もう一つご紹介したい。
老子は「暗愚」であれと説いている。リーダは聡明でなければならないが、それを見せつけてはまだ本物ではない。「暗愚」を装うことが本物のリーダであると言っている。

書籍では、日露戦争時の満州軍総司令官・大山巌の事例を紹介している。
大山巌はロシア軍に包囲され全滅に瀕した時に、前線に出て「今日は朝からドンドンパチパチ音がするでごわすが、何かあったとでごわすか」と指揮官に尋ねたと言う。もちろん知らないわけではない。そうやって前線の指揮官を冷静にさせたのだろう。
また、砲兵に向かって「大砲は上に向ければ遠くに届くか」などと質問している。大山巌は砲兵術の研究のためにフランスに遊学したことがあるそうだ。当然知り尽くした内容である。質問することにより、戦闘で混乱している前線兵士を冷静にさせようとしたのだろう。

これが老子の説く「暗愚」だ。
中途半端な指導者は、部下にバカにされまいと「知識」を振り回す。本物の指導者は、暗愚であることを装う勇気を持っている。これは自分に対する自信があるからできることだ。

慌てふためいている兵士に向かって叱責すれば、より慌てふためく。
兵士に砲身を正しく向けるよう指導すれば、言われた通りに動くだけだ。
「質問」によって兵士を冷静にさせれば、自ら考え正しく働く。
これができるのは、兵士を信じているからではない。自分自身を信じているからできることだと思う。普段の指導により兵士が正しく行動できると信じることができる。自分に自信がなければ、兵士の行動を信じることはできないだろう。


このコラムは、2017年3月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第520号に掲載した記事です。

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