司马牛(1)忧曰:“人皆有兄弟,我独亡。”
子夏曰:“商(2)闻之矣,死生有命,富贵在天。君子敬而无失,与人恭而有礼,四海之内,皆兄弟也。君子何患乎无兄弟也。”《论语》颜渊第十二-5
(1)司马牛:孔子の弟子。姓は司馬。名は耕または犁。字は子牛。かつて孔子を殺そうとした桓魋の弟。
(2)商:子夏の名
素読文:
司馬牛憂えて曰く:“人は皆兄弟有り、我に独り亡し。”
子夏曰く:“商之を聞く。死生命有り。富貴天に在り。君子敬して失なう無く、人と与わるに恭しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟なり。君子何ぞ兄弟無きを患えんや。”
解釈:
司馬牛が憂えて言う「誰にも兄弟があるのに、私だけにはない」
子夏が慰めて言う「私は死生や富貴は天命だときいている。君子として、敬する気持ちを忘れず、恭しく礼を尽くせば、四海のいたるところに兄弟は見出せるではないか。君子たるもの肉親の兄弟に縁のうすいのを憂う必要があろうか」
実の兄が孔子を殺そうとしたことを負い目に思っていた司馬牛に対して、子夏は血の繋がりだけが兄弟ではない。同じ志を持つものも兄弟として接すれば良いのだと慰めたのでしょう。