生産性改善


 中国でバイヤーとして活躍されている方から先週のメルマガ「改善の火をともす」の感想をいただいた。感想というより中国モノ造りを叱咤激励する檄文(読み方によっては愚痴・笑)をいただいた。

この方は定期的にサプライヤーを集めて合同の改善報告会をしておられる。こういうことができる人が本当のバイヤーだと思う。
脅し、すかしでコストダウンを迫る、納期遅れには電話で怒鳴りつける、こういうバイヤーにはできないことだ。

相手に感謝されつつ自社にもメリットをいただく。何事もこうありたいと思う。

メッセージの中に合同改善報告会で中国サプライヤーの社長さんに改善の推進をお願いすると、「改善要員を雇いましたから大丈夫です。」と答えるシーンが出てきたが、思わず苦笑しながら頷いてしまった。
顧客から品質クレームがあると、即座に検査装置を買ってきてこれで大丈夫だと安心する中華系経営者を思い出した。

人を雇えば改善ができる、検査装置を買えば不良が減る、という明るく屈託のない思考回路では改善など不可能だろう。

ところで私も前職時代に生産委託先工場の経営者、品質責任者を自社のインドネシア工場に招き「グローバルQA会議」を開催した事がある。工場の見学、各社からの品質改善の取り組み発表と言う丸1日のプログラムだ。

さすがに全員同業者であり、みな真剣なまなざしで参加してくれた。
しかし自社工場の経営者から「ノウハウの流出」を恐れる声が出て、大変残念に思った。こちらの思惑ではお互いに切磋琢磨してレベルを高めあうことを想定していた。
今持っているノウハウにしがみつく姿勢とは対極の考えかただ。しかも目に見えているところなどたいしたノウハウではない。

そんな訳で2年目に台湾資本の中国工場で第二回グローバルQA会議を開催してその後は継続できなくなってしまった。
無理を承知で開催したので2回も開催できたことでよしと考えているが、少し残念だ。


このコラムは、2009年11月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第125号に掲載した記事に修正・加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】