日本の製造業の力が徐々に落ちているのではないかという漠然とした不安がある。ラジオ番組で、企業の教育投資を日米で比較しているのを聞いた。
日本:GDP比0.1%
米国:GDP比2.0%
なんと20倍もの差がある。
他にも資料を調べてみた。
「生産性向上につながる 人材投資・人事改革」日本総合研究所によると、米国、スウェーデン、フランス、ドイツ、日本の時間当たり労働生産性伸び率1970~1990年:日本は9%。スウェーデンに次いで2位。2010~2015年:日本は0.4%程度。5カ国中最下位。4%近くある米国の1/10。
経済産業省の『「雇用関係によらない働き方」に関する 研究会・報告書』によると、OJT以外の人材育成投資をGDP比でイタリア、フランス、ドイツ、英国、米国、日本を比較すると2001年~2010年のデータで日本は最下位0.2%程度、一位のフランス1.8%と比較すると9倍の差がある。
さらに悪いことに、日本は1995年~2000年と比較すれば2001年~2010年の人材育成投資が半減している。その他の国は微減のドイツを除く4カ国は皆増加だ。
教育投資の低さと減少が、労働生産性伸び率の低下と順位後退につながっているのではないだろうか?
さらに従業員教育の内容に踏み込むと、階層別の教育に取り組んでいる企業の割合は以下の様になる。
- 新入社員教育:93.5%
- 新入社員フォロー教育:77.5%
- 中級管理者教育:59.8%
- 上級管理者教育:56.8%
- 経営幹部教育:28.4%
(「2016年度 教育研修費用の実態調査」産業総合研究所)
新入社員教育はほとんどの企業が取り組んでいるが、職位が上がるほど教育が行われていない。職位が上がるほど管理能力も上げなければならない。経験智だけで補えということなのか。
あなたの会社では、教育投資に対する目標があるだろうか?
もちろん教育にかける経費が目標であるはずはない。教育による従業員の能力向上、その結果得られる企業の成長を示す指標を目標にしなければならない。
利益の1%を教育投資に使って、利益が10%上がれば投資効率10倍という事になる。
このコラムは、2019年4月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第805号に掲載した記事に加筆しました。
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