現実的とは


 「現実的」という言葉を辞書で調べてみると、

  1. 考え方などが現実に即している様。
  2. 理想や夢がなくて、実際の利害にのみさといさま。
    (大辞林)

と出ている。あまりポジティブな言葉ではなさそうだ。

言ってみれば「その時に感じている限界」に即して考える、行動することが現実的な考え方、現実的な行動ということになる。

例えば「地域社会から愛される商店になる」という理想を持った小売業者があるとする。
経営者はどうすれば地域社会から愛される商店になれるか考えてみるが、良い考えが浮かばない。従業員にも声をかけ一緒に考える。皆良い考えがないようで沈黙が続く。古参の経営幹部が「とりあえずお客様に感謝の意味を込めて割引セールでもしますか?」

こういうのが現実的な意見、現実的な解決策だ。

「お客様に愛される商店」という理想を実現したいと考えた背景には「永続的な繁栄」を手に入れたいという思いがあるはずだ。「安売り」で愛される商店では永続的繁栄はおぼつかない。

「とりあえず」という言葉が現実的であろうとする姿勢の表れであり、本来の可能性を制限している。
「地域社会から愛される商店」という理想の背景にある本当に望んでいる事は何かに焦点を当て、可能性を作り出す事に集中すべきだ。

「現実的に」とか「とりあえず」という言葉を聞いた時には注意が必要だ。


このコラムは、2018年11月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第749号号に掲載した記事に加筆・修正したものです。

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