加湿器にショートの痕跡か 長崎グループホーム火災


 長崎市東山手町の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」で高齢女性4人が死亡した火災で、火元の部屋にあった加湿器とみられる電気製品にショートのような痕跡があることが県警への取材で分かった。県警は燃え残りを分析し、出火原因の特定を進める。

 県警は12日、4人の死因を一酸化炭素中毒と発表した。司法解剖の結果、4人に目立った外傷はなかった。火元は2階中央付近の男性入所者の居室と断定した。

 火元の部屋からは、加湿器とみられる焼け焦げた電気製品が見つかっている。この電気製品付近の焼け方が特にひどかったという。施設内は禁煙で、暖房はエアコンのみを使用。加湿器は、希望者に施設側が貸し出していたという。

 一方、長崎市によると、火災が起きた8日午後7時30分ごろ、本来は2人の職員が勤務すべきところ、このホームでは当直の女性職員(56)1人しかいなかった。別の職員1人が出火直前に早退し、交代で出勤予定だった職員が遅刻していたためだった。長崎市による、ホームの運営会社への聞き取りで分かった。

 3階に居住していて亡くなった中島千代子さん(82)を担当していた訪問介護のヘルパーも出火直前に朝食用のパンを買いに出て部屋を離れていた。長崎市は、当時の勤務実態を詳しく調べる方針だ。

(asahi.comより)

 先週に引き続き焼損事故だ。

高齢者のグループホーム火災は、現場調査により、加湿器が火元と判明した。記事には加湿器のショートが原因の様に書かれているが、加湿器のショートは現象であり原因ではない。
しかも、加湿器のショートは火災後の現象であるだけの可能性もある。

例えばAC電源の様に電圧が高い部分の半田付けに不良が発生し、断続的に接触・非接触を繰り返す。接触・非接触のたびに火花が発生しプリント基板の絶縁がじわじわと劣化。最終的にAC100Vがショートし発熱焼損。つまりショートに至る前に、半田付け不良という原因がある。

実はこういう事例が意外と多い。

電源スイッチが使用中に劣化し接触抵抗が上がる。接触抵抗が上がり発熱。ますます接触抵抗の上昇が加速する。最終的に発煙焼損。
結果的に電源スイッチが丸焦げになっているので、スイッチのショートの様に見えるが、原因はスイッチ接点の接触不良である。

電源ケーブルのコネクタが、挿抜による外力でカシメ部分が緩んで来る。カシメ部分の接触抵抗が上昇し発熱、同様のプロセスにより発煙焼損。これもコネクタのショートの様に見えるが、電源ケーブル挿抜の外力が直接カシメ部分にストレスを与える様になっている機構設計のミスだ。

結果的には、製品がショートし発熱焼損した様に見えるが、原因は製造不良であったり、設計不良だったりする。ここまで原因の解析を深める事により、再発防止を検討することが可能となる。


このコラムは、2013年2月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第297号に掲載した記事です。

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