在庫の削減


 例えば、完成品倉庫が狭くなったので何とかしたい、という課題を持ったお客様に、自動倉庫やMRPシステムを提案してはいけない。

それはなぜ完成品倉庫が狭くなっているのか、という本質問題を解決していないからだ。本質問題を解決せずに、システムや自動倉庫を導入してもムダを機械化してしまうだけだ。

いきなり自動倉庫を導入しなくても、今まで2段だった棚を3段、4段に増やす。その結果フォークリフトが必要になる。不必要な管理が増える。その実問題は何も解決されておらず、遠からぬ将来また倉庫が足りないという問題が浮上するはずだ。ただ問題を先送りしただけとなる。

完成品倉庫が狭いという問題の本質的原因に対策を打たねばならない。

なぜ完成品倉庫が狭いのか?
完成品が多いから。なぜ完成品が多い?
出荷量以上に作りすぎるから。なぜ出荷量以上に作る?
まとめて作ったほうが効率が良いから。なぜまとめ造りが効率が良い?
段取り換えに時間がかかるから。なぜ段取り換えに時間がかかる?
……

という具合に完成品倉庫が狭くなってしまった原因を調査し改善しなければならない。

上述のお客様は、段取り換えに時間がかかる、不良率が変動し歩留まりが読めない、などの理由により出荷量に大きな安全係数をかけて生産投入している。これが完成品倉庫が手狭になる根本の原因だ。

この問題を解決しなければ、どんなに良いMRPを導入しても、自動倉庫に投資をしても問題は解決しない。


このコラムは、2011年6月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第210号に掲載した記事です。

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