ボトムアップ改善


 QCC活動や改善提案はボトムアップ改善活動。機械化投資などによる改善活動はトップダウンプロジェクト。そんな区分けが一般的だと思う。

生産現場の改善指導を20年ちょっとしているが、ボトムアップとトップダウンだけではうまくゆかないような気がしている。

前職時代に、生産委託先の工場を指導していた時は「客」として指導していた。
現場が言うことを聞かなければ、工場長に文句を言えばよかった(笑)まぁ、そう言う局面になることはなかったが、生産委託先の経営者や幹部は顧客の言うことを聞かなければ、生産を引き上げられると言う心配はあったと思う。しかし、言うことを聞いて置いた方が自社の品質や生産性の改善になる、と感じていたはずだ。こちらは指導料も出張経費も請求しない。オイシイ話だったはずだ(笑)

しかし独立してからは、主客の立場が入れ替わった(笑)
私は客として指導をするわけではなく、お客様工場で指導をさせていただいて対価をいただくことになった。

生産委託先の指導はこちらの都合で出かけることができる。
(事業部長は、金がかかる品証部だと思っていたかもしれないが・笑)
しかしお客様の指導は、こちらで勝手に指導日を追加するわけにはいかない。決められた期間で成果を出し、成果を維持発展させなければならない。そのためには現場リーダの能力と意欲を高めなければならない。

生産委託先の指導がトップダウン活動だとすると、今の仕事は現場リーダ層からのボトムアップ改善活動と言えるかもしれない。

しかしボトムアップ活動だけでは、大きな改善成果や、継続的な改善を期待できない。手取り足取り方法を教えて、トップダウンで改善しても、現場リーダの能力や意欲は高まらない。

問題を解決するボトムアップ活動を通して、現場リーダの能力と意欲が向上する。

課題を自分たちで設定し、改善することにより能力が上がり、達成感により更なる意欲が向上する。このような活動は単純なボトムアップ活動ではない。上司・経営者から改善活動の権限を委譲されたエンパワード活動になる。

ボトムアップ活動の更に先は、エンパワード活動だ。


このコラムは、2018年8月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第711号に掲載した記事です。

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