森村誠一が小説作家のスランプについて書いているのを読んだ。
作家にはスランプがつきものだという。どの作家もスランプに陥る。しかしスランプを抜け出る方法は作家によって違う。森村は以下のように分類している。
小説作家のスランプ脱出方法
・死
・スターの座にこだわらない
・路線変更
「死」は最悪の選択だが、小説作家には人気のある方法のようだ。
太宰治:玉川上水で入水心中。
芥川龍之介:田端の自宅で服毒自殺。
三島由紀夫:陸上自衛隊東部方面総監部の総監室で割腹自殺。
川端康成:逗子の別荘でガス自殺。
「スターの座にこだわらない」は売れっ子の先生から、新人の作家と同じ扱いに落ちることだ。出版社や編集者の扱いが変わる。自殺に至らずとも相当辛い思いをするだろう。売れっ子時代に尊大になっていたような人物には人間的な成長機会と言えるかもしれない。
スランプ脱出方法として「死」はいうまでもなく「スターの座にこだわらない」の二つはネガティブな解決方法だ。結果としてスランプに屈服したことになる。
「路線変更」はスランプに屈服することなくスランプから脱出する方法だ。
例えば北方謙三は学生時代に書いた純文学作品が認められ、作家デビューした。
しかしその後作品を書き続けるが書籍が出版され注目を集めることはなかった。「弔鐘はるかなり」で路線変更。ハードボイルド作家として生まれ変わった。さらに「武王の門」で歴史小説に路線変更している。
ハードボイルドへの路線変更は編集者の「暗い話を書いている場合じゃない」というアドバイスがきっかけだったそうだ。
あっという間に売れっ子作家となった。
第二の歴史小説への路線変更は北方謙三自身から生まれた。
北方はこう言っている。「探偵が公衆電話を探すシーンは、すぐに陳腐になる。歴史物は初めから古いので時代に影響を受けない作品になる。」
賞味期限の短い作品を書き続けスランプに陥ったのだろう。時に淘汰されない作品を書きたいという作家の崇高な志による路線変更だと思う。
さて我々も大きなスランプに直面している。作家のスランプは自身の内的要因が大きいが、新型コロナウィルスという外的要因のスランプだ。新型コロナウィルスに屈服するスランプ回避ではなく、スランプ脱出する方法を考えねばならない。
新コロナウィルス感染で大変な思いをされていると思います。
少しではありますが、出口の光明が見えてきたように思います。
このピンチをチャンスに変えようではありませんか。
このコラムは、2020年4月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第966号に掲載した記事です。
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