先週末は若手の勉強会に参加し不正会計の事例を勉強した。
日本人が関わる不正会計の大半が個人利益目的ではなく、本社から与えられた事業計画達成のため経理数字を誤魔化す事で発生しているのではないかと想像している。
今期事業計画を達成するため、今期の支払いを来季に回す。架空の受注で完成在庫を積む。などなどの不正操作を続けるうちに、金額が累積して破綻する。
このような不正が発生するのは、数字をごまかしてでも計画を必達しなければならないという上からの強いプレッシャーがあるからではなかろうかと思う。
品質に絡む不正事件も同様に上位職からの強いプレッシャーで「問題を隠す」組織文化が蔓延するからだろう。
正しいことを正しいとし、不正を不正とする、そういう企業文化があれば問題には常に光が当たっているはずだ。
安全事故が発生すれば隠しおおせないだろうが、ヒヤリハットは黙っていれば上長に知れることはない。
設計ミスは黙って修正しておけば、のちに誰かの知るところとはならない。
修理品を工程内不良にカウントしなければ工程不良率はぐんと下がる。
このように問題を表に出さない(もしくは出せない)組織では、問題は隠され、改善は行われない。そして隠された問題は累積し、閾値を超えた所で大問題として発覚することになる。
- 設計ミスを表に出せば、そのミスは共有され後に発生しなくなる。
- ヒヤリハットが表に出ていれば、重大事故の抑止になる。
- 工程不良が正しく表に出ていれば、改善が行われる。
問題や失敗を強く叱責する組織文化のもとでは、上記のような良い循環は発生しない。
以下中村天風の言葉だ。
天高うして日月かかり、地厚うして山河横たわる。
日月の精、山河の霊、静まりて我が心に在り。
心に力ありと言えども、養わざれば日に滅ぶ。
心に霊ありと言えども、磨かざれば日に暗む。
心滅び霊暗みてただ六尺の肉身を天地の間に帰するのみ。
かかる中に50年の生涯尽く。
心の力と心の霊と我の備わるものぞと知らば
これを養い磨くべき道自ずからここに開けん。
我が師・原田則夫の言葉「すべては人の心から始まる」が中村天風師の言葉にダブって思い起こされる。
このコラムは、2019年8月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第862号に掲載した記事です。
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