技術の力で障がいという言葉のない社会に


 先週は義足を研究している遠藤謙さんの話を聞いた。彼はXiborg社のCEOとして、主に陸上競技用義足の開発をしている。

遠藤謙さんのTEDスピーチ

歩く、走るという動作を解析し、どのようなメカニズムを義足にインストールするか考える。技術的に大変興味深い研究分野だと感じた。それにも増して、「競技」という要素が研究者たちのモチベーションを高めているように思えた。

足を失ったバスケット部の後輩のために、ロボット研究者だった遠藤さんは、義足研究のために米国に留学している。

後進国の障がい者が使える義足は30$以下にしなければならないそうだ。
ある意味、競技用の義足とは対極にあるような義足開発だろう。インドの少女に義足をプレゼントした動画では、満面の笑みを浮かべ歩いている少女の姿、父親の感謝に満ちた涙目が映し出されていた。

純粋な技術的興味、技術を通した切磋琢磨、他者への貢献、人からの感謝などが技術者のモチベーションを高める要素なのだろう。

競技用の義足は、健常者の記録を超えてしまうこともありうるだろう。
健常者と障がい者の境目が曖昧となり、逆転現象も起こりうる。パラリンピックが障がい者の競技会ではなく、サイボーグの競技会になる日が来るのかもしれない。

彼の研究を支援することは無理かもしれないが、アセアン地域には内戦のため足を失った人が多いと聞いたことがある。アセアン方面の友人に声をかけてみようと思っている。


このコラムは、2017年2月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第514号に掲載した記事です。

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