アクセル踏み間違い


 ブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違えて事故が発生した、というニュースを頻繁に見る。そんな中で埼玉県の中小企業ナンキ工業の南平次社長がアクセル踏み間違い防止装置を考案したというニュースを見た。
「川口のナンキ工業」

後付けの装置を取り付け、強くアクセルペダルを踏むとブレーキがかかる仕組のようだ。仕組みの詳細はわからないが、言われてみれば簡単な仕掛けで実現出来そうに思える。

病院の待合室にタクシーが突っ込む、コンビニ、通学中の子供達に高齢者が運転する車が突っ込む。連日悲惨な事故が報道されていたのに、問題解決に対する熱意が足りなかったのか(苦笑)この記事を見るまで考えつかなかった。

我々の身近にある問題も、こういう状況になってないだろうか?
「〇〇だから」「□□できないから」などとハナから制約条件をつけて諦めていないだろうか?

「〇〇だから出来ない」のであれば、〇〇でなくせば出来るはずだ。制約条件は課題に過ぎない。

以前金型交換の時間短縮に現場のリーダたちと取り組んだことがある。
金型の固定ネジを締め付ける、緩める時間を短縮するためにラチェットレンチを使うというアイディアを思いついたメンバーがいた。別のメンバーの「以前試してみたがダメだった」という一言で一緒に考えていたメンバーの気持ちが折れた。

「どうしてダメだったの?」と質問。
「ラチェットレンチはすぐ壊れる」
「どんなラチェットレンチで試したの?」
「30元のラチェットレンチ」
「じゃぁ300元のラチェットレンチで試してみよう!」

「すぐに壊れてしまう」という問題を、次に解決すべき課題だと思えば、上記のような質問で解決の道が見える。

ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故も「年寄りに運転させるな」という安直なアイディアで解決しようと考えている人が多いのではないだろうか?都会であれば車を運転しなくても生活が可能だろうが、地方の高齢化集落では高齢者も車を運転しなくては生活できない。

「高齢者は運転免許を返納せよ」というキャンペーンが盛んだが、運転免許を返納してしまうと、身分を証明する手段がなくなる。運転免許を返納せずとも車を運転しなければ事故は起きない。

自動運転が現実化した時点で運転免許を返納していたら、もう一度運転免許を取り直すことになるのではなかろうか。


このコラムは、2019年7月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第843号に掲載した記事です。

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