多民族国家と単一民族国家


先週も読者様からコメントをいただいた。

S様のコメント
私は中国の企業の方と仕事上のつきあいがありますが、個人主張(私は悪くない)という反応が多々あります。
ご迷惑をかけて、申し訳ないというような回答はなかなか引き出せません。
これは、どこも同じでしょうか?

中国の工場で仕事をしたことがある方や、中国人と一緒に仕事をした事がある方は、S様のご意見に今深くうなずいておられるのではないだろうか(笑)
このメルマガでも「言い訳」について取り上げた事がある
「言い訳」

まずは自分が悪くないということを主張する、というのが中国人たちの習性のようである。

ところで翻って「ご迷惑をおかけして、申し訳ない」というメンタリティについて考えてみよう。こういう気持ちがすっと自然に出てしまうのは、日本人特有のモノではなかろうか?
単一民族の国であるからこそ、相互の信頼関係が前提としてあり、先に申し訳ないといってしまうメンタリティが出来上がっているのだろう。

米国では「I’m Sorry」というと自分に責任があると認めたことになるので、あまり謝らないと聞いた事がある。多民族の国家であるがゆえに、まずは良い悪い、どこに責任があるのかということを明確にする必要があるのであろう。
他民族社会ではまずは「ルール」が優先する。

中国も同様に多民族国家である。同じ漢族同士でも出身の省が違うとまるで違うと思ったほうが良い。更に優先すべき「ルール(法律)」が未整備であったり、未成熟なのでなおさら「自分は悪くない」ということを主張しなければならなくなる。

日本では先に良い悪いを議論してしまうと角が立つ、均一な社会なのでまずは調和を重んずる。

こんな考察をしてみると、日本人のメンタリティの方が特殊なのかもしれない。


このコラムは、2008年4月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第30号に掲載した記事です。

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