顧客感動


先週は「顧客満足、顧客不満の解消」について考えてみた。今回はそれらを超越した「顧客感動」について考えたい。

ずいぶん前のことだがTVコマーシャルで「デライト」という言葉を知った。
たばこ会社のコマーシャルで、タバコを吸おうとした紳士がそばに子供がいるのに気がつきそっとタバコをしまう。という映像に「デライト」という言葉がかぶさってくる、というコマーシャルだったと記憶している。

顧客満足(Customer satisfy)と顧客感動(Customer delight)の違いとは
「顧客満足」は顧客の要求を100%満たしている状態。
「顧客感動」は顧客の要求を超えた品質(機能、性能、質感など)
と定義すればわかりやすいだろうか。

以前指導していた電動バスの製造企業は售后服務(アフターサービス)という部門があり、顧客クレーム対応をしていた。バスのモータが故障したということで、即顧客訪問。迅速な対応は良いが、車内に持ち帰った情報は、不良と言われたモータの外観写真のみ。

これでは技術も品証も何も動けない。

售后服務としては、不良現品を持ち帰る手筈を整え早急に不良解析を行い、不良原因を突き止め、顧客に対して他のバスへの波及の可能性を含めて報告しなければならない。これができてプラスマイナスゼロの成果だ。

ここで「顧客感動」レベルの対応はなんだろうか?
顧客の立場に立って考えれば、答えは明確だ。
顧客がバスの故障で困るのは「運行ダイヤの維持をどうやって実現するか」ということだろう。これを素早く解決すればプラスマイナスゼロからプラス側に振れるだろう。

実は全く故障しないバスを提供しても、顧客はその凄さに気がつかない可能性がある。稀に故障するがその対応が素晴らしい。というのが理想状態なのかもしれない(笑)


このコラムは、2021年8月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1179号に掲載した記事です。

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