子贡曰:夫子之文章(1),可得而闻也;夫子之言性(2)与天道(3),不可得而闻也。
《论语》公冶长第五-13
(1)文章:詩、書、礼、楽などの孔子の教え。
(2)性:人間性。
(3)天道:天命。天の定め、宇宙の法則。
素読文:
子貢曰く:“夫子の文章は、得て聞くべきなり。夫子の性と天道とを言うは、得て聞くべからざるなり。”
解釈:
子貢曰く「孔子の詩、書、礼、楽など日常の実践に関する教えは聞くことができるが、人間の本質や宇宙の原理など原理的な教えはなかなか聞くことができない」
孔子は、抽象的、哲学的なことを説くのではなく、あくまで実践に立脚した教えだったということでしょうか。
下村湖人は「論語物語」の中で「孔子は人生観、世界観を滅多に口にされることはない、孔子の深さは無限だから、我々がそれを聞いても理解できないだろう。」と子貢に言わせています。
安岡正篤氏は「論語の活学」という本を書かれています。
孔子の教えは哲学的な思索ではなく、実践のための手引きである、とこの節で言っているのだと思います。