ディズニー流人材育成


 人ごみが嫌いな自分は、東京ディズニーランドに行った事はない。
しかし、随分昔から東京ディズニーランドには興味を持っている。
そのきっかけは、週末の夕刻に放送していたFM番組でTDL設立のエピソードを聞いたことだった。

米国ディズニーランド本社役員に、TDL開業のプレゼンテーションをした時の逸話が実に面白かった。

  • 本社役員たちは、リスク分散のため出張時には同じ飛行機に乗らない。
  • 浦安の建設予定地を案内する時に使ったトリック。
  • 役員たちの好みを事前調査し、徹底的にもてなした。
  • プレゼンテーションとはこう有るべきだと、当時大いに啓発を受けた。
    (このテーマに関しては、後日機会があれば…)

    その後、海外の生産委託先を指導するようになって、委託先工場とTDLの類似点に気が付き、TDLのマネジメントを調べてきた。

    その共通点は、

    • TDLでは、マニュアルによってアルバイト職員がゲストに感動を与えている。
    • 工場では、作業指導書によって出稼ぎ労働者が製品に付加価値をつけている。

    どちらも、長くて3年ほどしか働かない職員を、戦力として活用している。
    しかし一方は、アルバイト職員がゲストに感動を与え続け、リピート顧客が98%もある。他方は、作業員の管理がうまくゆかず四苦八苦している。

    TDLに集まるアルバイトが皆優秀かと言うとそうではない。
    毎年9千人のアルバイトが入れ替わる。優秀な人材を選別している余裕はない。
    「素質は問わない」採用しか出来ない。
    工場と同様だ。

    秘訣はTDL内の人材育成システムにあるはずだ。

    TDLでは、アルバイトをトレーナー(アルバイト)が指導する。
    工場では、作業員を班長(元作業員)が指導する。

    顧客に価値を提供している職員(感動、製品の加工)を直接指導しているトレーナー、班長を育成することが重要となる。

    TDLのリーダー育成システムを、工場に応用できたら、すばらしい工場になるはずだ。そんな思いで、手当たりしだいにTDL関連の書籍を読み、セミナーに出席し、元TDLの職員(しかもディズニーインスティチュート職員)に会いに行き話を聞く。そんなことをしてきた。

    最近読んだ
    「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」
    はお勧めだ。

    初版が出て1年経つが、未だに売れ続け版を重ねているようだ。
    私は5月の連休に帰国した折、ショッピングセンター内の書店で見つけ、家内の買い物を待っている間に一気に読んでしまった(笑)


    このコラムは、2011年11月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第231号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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