生産委託先の指導について


 中国の工場に生産委託をしているが、なかなかうまくゆかない。資本関係もなく言う事を聞いてもらえず苦労をしている。こういう方が多いのではないだろうか?

私も前職勤務時代中国の生産委託先の指導で苦労した事がある。

当時は出張ベースで生産委託先を指導していた。
まずは現場に張り付かなくても良いように作戦を立てた。

  • 毎日生産の結果を報告してもらう。
  • 報告には生産量、各検査ステーションでの不良数、不良原因を入れてもらう。
  • 想定される工程内不良率の上限を決めておき、毎日のレポートでアラームが出たらすぐ出張指導に行く。

こんなスタイルで生産を開始した。当初はかなりすったもんだがあった。同じ内容の不良が続き、緊急出張した。当初は1週間で帰るつもりが1ヶ月になった事もあった。

それでもすぐにすばらしい成果を出してくれるようになった。
自社の海外工場で作っていたプリンター用電源装置を生産移管した時は、いきなり工程内不良率100ppm台を初月から達成した。自社工場ではここまで持ってくるのに半年かかった。

この時に自分たちで、どうしてうまく行ったのか分析をしてみた。
結論は、経営者の信頼をうまく取り付けたことだ。経営者に我々の言う事を聞いていれば、自分の工場の品質がよくなると信じさせる事が大切だ。

実はこの経営者をお客様の前で叱った事がある。

お客様が非常に高い品質要求を言ってきた時に、経営者は「品質をよくするためにはコストがかかる」と反論した。
即座にそれを否定して「品質とコストがトレードオフ関係になるような状況を作るべき ではない」と諭した。当然お客さんは私の味方になる。

経営者の面子をつぶしてしまい、まずいことをしたと当初思ったが、これが逆に経営者が我々を信頼するきっかけになったようだ。

資本関係のない委託先でうまくやるのは経営者にこちらを信頼させるのが第一だと考えている。これができていると現場の指導もすごくやりやすくなる。


このコラムは、2008年6月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第37号に掲載した記事です。

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