アディダス・ジャパンは14日、今年4月以降に全国で販売した女児用の水着が、着用して水にぬれると肌が透ける状態になると発表した。同社は自主回収する。薄いブルーと、薄いピンクの水着で6モデル、10種類が対象。
問い合わせは、同社の製品回収センター(0120・774・435)。同社によると、主に小学校高学年までで、身長100~160センチを対象とした「女児用スイムウェア」。これまでに、約4千着を販売した。生地と色の薄さが透ける原因だとしている
(asahi.comより)
スポーツウェアの業界では、新製品の「設計検証」「製品の妥当性検証」をどのような手順でやっているのだろうか?今回の様な不具合は、出荷後ではなくもっと早くに発見出来たはずだ。
本来この様な問題は、製品に使う材料を決定する段階で、問題に気が付かねばならない。
電気・電子製品の場合、新規に採用する部品・材料は設計の初期段階で、部材及び、それを供給するメーカの評価を実施する。長期信頼性など時間がかかる評価については、評価計画とリスク回避の代替案を初期設計審査で確認する。
今回の様な、透ける素材を使って水着をデザインするということはありえない。初期評価でサンプルを濡らしてみればすぐに分かることだ。
また、万が一不幸にも初期設計の段階で不適合に気が付かなかった場合も、設計検証で洗い出す仕組みになっている。それでも気が付かない場合は、量産開始前の第三者(普通は品質保証部)の製品妥当性検証で気が付く。この妥当性検証は、完全に利用者の立場で評価を実施することになっている。
電気・電子製品の設計者は安全事故を発生させない様に、最大限の注意を払う。水着メーカにとって「透ける」という不適合は、電気・電子メーカの安全事故と同等の致命的不適合だろう。
衣料メーカにとっては、意匠性が重要なのは理解できるが、基本的な機能の評価がおろそかになったり、手薄になると、今回のような回収騒ぎとなる。
「保証」と「補償」は紙一重。品質保証は「先手必勝」だ。
このコラムは、2010年7月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第162号に掲載した記事です。
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