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杭打ち工事、現場の言い分

杭打ち工事、現場の言い分。データ再調査は「パンドラの箱」となるか?=近藤駿介

 新たな不正が見つかり、日増しに批判の声が高まっているマンションデータ改ざん問題。この風潮に異を唱えるのが、30年前に元請会社の技術者として杭打ち工事を担当した経験を持つ、元ファンドマネジャーの近藤駿介さんです。
自然相手の工事における「必要悪」としてのデータ改ざんとは?

(以下略)
全文はこちら

(MONEY VOICE ニュースより)

 以前杭打ち工事のデータ偽造のニュースに関してコラムを書いた。

「旭化成建材、現場責任者の3割偽装 出向が大半、調査難航」

当初現場責任者の問題と言う論調だったが、予測通り業界全体の問題に発展して来ている。

本日取り上げたコラム著者・近藤駿介氏は杭打ち現場の経験があるようだ。現場人間の私には、彼の主張を理解できない訳ではない。

空調が効いたオフィスで仕事をしている実務経験のないボーヤが、偉そうに施工検査に来た所で何が分かる。と言う筆者の気持ちがコラムの端々から滲み出ている。

実務経験がない検査官は、施工データをどう読むか分からない。検査官は必要データが揃っている事をマニュアルに従って確認するだけになるだろう。コラム筆者はこのような「マニュアル検査」を続ける以上施工データの改ざん・流用は無くなる事はないと言っておられる。

この議論は納得ができない。

確かに現場には予期しないことが突発的に起きる。それによってデータが取れない事もあり得るだろう。だからといって、データの存在だけを問う施工検査をするから施工データを改ざん・流用してよいと言う事にはならない。データをきちんと取る様に努力を傾けるのが本物の現場人間だと思う。

コラム筆者は何度も「施工品質と施工データは別物だ」と主張しておられる。きちんと施工さえしていれば、施工データを改ざんしようが流用しようが施工品質は悪くはならない、と言う主張と理解した。
確かに、施工データは偽物でも、決められた材料を決められた工法で正しく施工すれば、施工品質は悪くはならないだろう。しかし正しい材料、正しい工法、正しく施工が行われた事をどのように保証するのだろう?

それを検証しようとすれば、破壊試験しかないだろう。

施工データは、合理的なコストで施工品質を保証する唯一の根拠だ。
施工データの改ざん・流用を施主の施工検査のせいにし、最終顧客には大丈夫だから信じろ、と言っているのと同じだと思うがいかがだろうか。


このコラムは、2015年12月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第453号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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神戸製鋼所データ改ざん問題

 先週の雑感で日産の無資格検査と共に、神戸製鋼所の品質データ改ざん問題についてふれた。
日産不正検査

当初アルミ、銅製品だけの問題としていたが、鋼線、鉄粉などにも品質データ改ざんの問題が発覚。出荷先は自動車、航空機、原子力、電気電子などの業界に拡大し、データ改ざんした製品を出荷した先は500社に上る。

原発用鋼管は径寸を片側だけ測定し、反対側は適当な数値を記入していた。
パイプの作り方を想像すると、片側の径寸が正しければ反対側もわずかな誤差しかないだろう。最初の一本と最後の一本の径を測定しておけば、問題はないだろう。これが保証できるのであれば、顧客に提出する検査成績書には片側の寸法データの記入だけにすれば良いはずだ。これをきちんと顧客に説明せずに片側のデータを適当に記入するというのは、不正だけではなく、顧客に対する不遜だと思う。

強度測定値にも改ざんがあった。航空機、新幹線などに使われる部品の材料だ。
強度不足が人命に関わることもありうる。ユーザ側の設計余裕度を見越して高を括っていたのだろうか?

神戸製鋼所は何度もこの手の前科がある。
1999年11月:総会屋への利益供与
2006年5月:排煙の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)データ改ざん
2008年6月:JISで定められた検査をせずに鋼材を出荷
2016年6月:バネ用鋼材の強度検査値改ざん
その都度反省し、内部統制を改善したはずだ。企業全体に隠蔽体質があると思わざるを得ない。

仏の顔も三度までという。今回の件で神戸製鋼所は無くなるのではないだろうか。
株価は先週末に年初来安値を更新し、株価総額は2,900億円を割った。もっと下がりそうな予感がする。外国企業に買われてしまうかもしれない。

本件に関して興味深いコラムを見つけた。
『神戸製鋼所も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ』

「世界一」であり続けることを義務付けられた組織が、本来の目的を忘れ世界一であり続けることが目的となる「病」に取り憑かれているという。筆者は、三菱自動車、東芝も「世界一病」と論評している。さらにその舌鋒は「世界一勤勉な日本人」にまで向かう(笑)

本来「世界一」であることは、顧客の評価によるものだ。したがって本来の目的は「顧客への貢献」であるはずだ。騙した相手から世界一の評価を得る事などできるはずはない。

私に言わせれば、顧客と取り交わした仕様の検査データを改ざん・捏造せざるを得ないような企業が「世界一」であるはずがない。本当に「世界一」ならば、生産した物は全て仕様規格に入っており、検査などしなくても良いはずだ。


このコラムは、2017年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第577号に掲載した記事に加筆しました。

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