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データは4K

 元々労働条件の悪い企業を指す言葉、キツイ・キタナイ・クライ・キケンを4K企業と言っていた。

しかし昨年12月22日の朝日新聞「かたえくぼ」に
 「データ管理は4Kで」隠す・消す・書き換え・黒塗り    ーー各省庁
と言う秀逸な風刺が出ていた。

掲載時期から判断すると、国土交通省の基幹統計データの書き換えを風刺したものだろう。

また企業の検査データの捏造も何度も報道されている。
この手の不正は一度手を染めてしまうと止めることができない。組織ぐるみで
不正を継続する事になる。

そこで私も検査データ管理の4Kを発表したい。
「確実に・潔白に・機密なく・個別に・公開する」

確実に:検査は正しい方法、機材、タイミング、判定基準で行う。
潔白に:データは誰からも疑問を持たれないように条件、測定者などを明確に。
機密なく:データの取り方、保管の仕方に機密なく。
公開:必要があればいつでも公開できるようデータを管理する。
こう言う姿勢で臨めば、後悔することはないだろう。

あっ、5Kになってしまった。
「検査データの4Kで後悔なく」と言う事にしましょう。


このコラムは、2022年1月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1246号に掲載した記事です。

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神戸製鋼所データ改ざん

 一年近く前に発覚した神戸製鋼所の検査データ改ざん問題で、検察は企業に対し虚偽表示で起訴、検査責任者の品質部門長は不起訴処分となった。と毎日新聞が7月20日付で報道している。

東京地検特捜部と警視庁による捜索から1カ月余りで起訴するというスピード捜査となった。その背景は、欧米の司法が調査に乗り出そうとしているため、神戸製鋼所が社内データの海外流出を恐れ、早期決着のため地検・警視庁の捜査に全面協力したと毎日新聞は解説している。

昨年10月頃に神戸製鋼所、日産自動車で立て続けに発覚した検査データ捏造・改ざん問題をコラムに書いた。この事件により神戸製鋼所が顧客から信頼を失い、最悪倒産するという私の予測は外れたようだ。

神戸製鋼所データ改ざん問題

ちなみに株価総額は、問題発覚直後に2,900億円を割り込んでいたが、先週末現在3,700億円を超えている。

この事件の深層には「川上産業の傲慢」があるのではないかと感じている。顧客は不正があったとしても、他から調達ができなければ転注はできない。

深々と腰を曲げお詫びしながら、心の中では仕様通り生産するには値上げを顧客に呑ませねば、などと考えているのではなかろうかと邪推してしまう。

我々がこの事例から学べることがあるとすれば、神戸製鋼所を反面教師として

  • 工程能力指数を上げる努力をする。
  • 顧客との仕様取り決めを真摯に行う。

チェック機能として、受注判定会議の議事内容に「仕様の妥当性確認」を追加。ということになるだろうか。
(以上の検討は、事実関係に基づいたものではなく私個人の私見です)


このコラムは、2018年7月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第697号に掲載した記事に加筆しました。

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杭打ち工事、現場の言い分

杭打ち工事、現場の言い分。データ再調査は「パンドラの箱」となるか?=近藤駿介

 新たな不正が見つかり、日増しに批判の声が高まっているマンションデータ改ざん問題。この風潮に異を唱えるのが、30年前に元請会社の技術者として杭打ち工事を担当した経験を持つ、元ファンドマネジャーの近藤駿介さんです。
自然相手の工事における「必要悪」としてのデータ改ざんとは?

(以下略)
全文はこちら

(MONEY VOICE ニュースより)

 以前杭打ち工事のデータ偽造のニュースに関してコラムを書いた。

「旭化成建材、現場責任者の3割偽装 出向が大半、調査難航」

当初現場責任者の問題と言う論調だったが、予測通り業界全体の問題に発展して来ている。

本日取り上げたコラム著者・近藤駿介氏は杭打ち現場の経験があるようだ。現場人間の私には、彼の主張を理解できない訳ではない。

空調が効いたオフィスで仕事をしている実務経験のないボーヤが、偉そうに施工検査に来た所で何が分かる。と言う筆者の気持ちがコラムの端々から滲み出ている。

実務経験がない検査官は、施工データをどう読むか分からない。検査官は必要データが揃っている事をマニュアルに従って確認するだけになるだろう。コラム筆者はこのような「マニュアル検査」を続ける以上施工データの改ざん・流用は無くなる事はないと言っておられる。

この議論は納得ができない。

確かに現場には予期しないことが突発的に起きる。それによってデータが取れない事もあり得るだろう。だからといって、データの存在だけを問う施工検査をするから施工データを改ざん・流用してよいと言う事にはならない。データをきちんと取る様に努力を傾けるのが本物の現場人間だと思う。

コラム筆者は何度も「施工品質と施工データは別物だ」と主張しておられる。きちんと施工さえしていれば、施工データを改ざんしようが流用しようが施工品質は悪くはならない、と言う主張と理解した。
確かに、施工データは偽物でも、決められた材料を決められた工法で正しく施工すれば、施工品質は悪くはならないだろう。しかし正しい材料、正しい工法、正しく施工が行われた事をどのように保証するのだろう?

それを検証しようとすれば、破壊試験しかないだろう。

施工データは、合理的なコストで施工品質を保証する唯一の根拠だ。
施工データの改ざん・流用を施主の施工検査のせいにし、最終顧客には大丈夫だから信じろ、と言っているのと同じだと思うがいかがだろうか。


このコラムは、2015年12月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第453号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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神戸製鋼所データ改ざん問題

 先週の雑感で日産の無資格検査と共に、神戸製鋼所の品質データ改ざん問題についてふれた。
日産不正検査

当初アルミ、銅製品だけの問題としていたが、鋼線、鉄粉などにも品質データ改ざんの問題が発覚。出荷先は自動車、航空機、原子力、電気電子などの業界に拡大し、データ改ざんした製品を出荷した先は500社に上る。

原発用鋼管は径寸を片側だけ測定し、反対側は適当な数値を記入していた。
パイプの作り方を想像すると、片側の径寸が正しければ反対側もわずかな誤差しかないだろう。最初の一本と最後の一本の径を測定しておけば、問題はないだろう。これが保証できるのであれば、顧客に提出する検査成績書には片側の寸法データの記入だけにすれば良いはずだ。これをきちんと顧客に説明せずに片側のデータを適当に記入するというのは、不正だけではなく、顧客に対する不遜だと思う。

強度測定値にも改ざんがあった。航空機、新幹線などに使われる部品の材料だ。
強度不足が人命に関わることもありうる。ユーザ側の設計余裕度を見越して高を括っていたのだろうか?

神戸製鋼所は何度もこの手の前科がある。
1999年11月:総会屋への利益供与
2006年5月:排煙の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)データ改ざん
2008年6月:JISで定められた検査をせずに鋼材を出荷
2016年6月:バネ用鋼材の強度検査値改ざん
その都度反省し、内部統制を改善したはずだ。企業全体に隠蔽体質があると思わざるを得ない。

仏の顔も三度までという。今回の件で神戸製鋼所は無くなるのではないだろうか。
株価は先週末に年初来安値を更新し、株価総額は2,900億円を割った。もっと下がりそうな予感がする。外国企業に買われてしまうかもしれない。

本件に関して興味深いコラムを見つけた。
『神戸製鋼所も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ』

「世界一」であり続けることを義務付けられた組織が、本来の目的を忘れ世界一であり続けることが目的となる「病」に取り憑かれているという。筆者は、三菱自動車、東芝も「世界一病」と論評している。さらにその舌鋒は「世界一勤勉な日本人」にまで向かう(笑)

本来「世界一」であることは、顧客の評価によるものだ。したがって本来の目的は「顧客への貢献」であるはずだ。騙した相手から世界一の評価を得る事などできるはずはない。

私に言わせれば、顧客と取り交わした仕様の検査データを改ざん・捏造せざるを得ないような企業が「世界一」であるはずがない。本当に「世界一」ならば、生産した物は全て仕様規格に入っており、検査などしなくても良いはずだ。


このコラムは、2017年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第577号に掲載した記事に加筆しました。

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