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続・魅力工学

 8月3日配信の第701号「魅力工学」で、婚活サイトのプロフィールが魅力的に見えるキーワードをAIが解析したという事例をご紹介した。

この記事に読者様からメッセージをいただいた。

※Z様のメッセージ

701号のフレーズ 
“私たちに必要なのは「正解」ではなく「新しい答え」だと思う。”
心に刺さりました。
私は、「現在」は「過去の行動」によって作られ、「未来」は「現在の行動」によって変えられると思っています。
ゆえにAIの描く未来は、過去の延長線上のもので、過去を超えることができない。過去を超えるためには、「新しい答え」が必要なのでしょうね。

メッセージをいただいて、「正解」と「新しい答え」についてもう一度考えてみた。

AIは「いいね」をもらった回数とプロフィール中の言葉や写真との相関を求め、相手に好感を持ってもらえるプロフィールや写真を分析した。

例えば平安時代の絵画を見ると、ぽっちゃり系の女性が描かれている。多分当時の絶世の美女は、現在では特定の男性にしかモテないだろう。人の好みは変化してしまう。しかしその変化は急激なものではない。婚活サイトのビッグデータを解析して出た答えは2、3年の単位であれば「正解」だろう。解析を繰り返していれば、AIが出す答えは「より正しい答え」と「新しい答え」を両立させることができるだろう。

失敗事例も過去のデータだ。
10年、20年前の失敗事例が現代に役に立たないかというと、全く逆でいまだに過去の失敗が繰り返されている。しかし失敗事例をビッグデータとしてAI分析したという話は寡聞にして聞いたことがない。

航空機の事故は、徹底的に原因解析され再発防止が徹底される。
しかし他の業界では、類似の事故が再発している。例えば、寿命モードで故障した電子部品が原因で火災事故が発生するような事故は、しばしば発生する。

こういう業界にAIによるビッグデータ解析をすれば、未然防止(開発時に対策)することができるのだろうか?AIがこういう方面にも応用できれば、別の意味で「魅力工学」となるだろう。
素晴らしい着想だと喜んだが、5秒後にダメだと悟った(笑)
魅力工学でAIが分析したのは相関関係だ。
しかし事故防止には相関関係は役に立たない、事故と原因の因果関係が必要だ。


このコラムは、2018年8月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第705号号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

魅力工学

 東京大学の山崎俊彦准教授の「魅力工学」という記事を目にした。
婚活サイトのデータを活用しAIで婚活に有効なプロフィールの書き方、顔写真の撮り方を分析したそうだ。

詳細はよくわからないが、婚活サイトでの「いいね」や連絡先の交換の件数を指標にして、多変量分析をしたのだろう。

「いいね」の件数とプロフィールのキーワードとの相関を分析する。
例えばプロフィール内の「海外勤務」というキーワードと「いいね」の件数に相関があることを発見すると、海外勤務の経験がある、または海外勤務中であると結婚の対象として好ましく思う、ということになる。

多変量解析では、キーワードを自分で設定することになるが、AIを使ってキーワードの洗い出しも自動でやってくれるのだろう。

さらに、メッセージのやり取りの件数、間隔までもパラメータとして分析したそうだ。手動でやれば気が遠くなる様な分析だが、AIならば勝手に分析してくれる。

ロボットやAIが人の代わりに仕事をする時代がやがて来ると、予測する人もある。さらに結婚相手もAIが決める時代が来るのだろうか?

しかし冷静に考えれば、AIが猛烈な処理能力と速度で分析するビッグデータは「過去のデータ」だ。未来を創造するのは「過去のデータ」ではないだろう。AIは過去のデータに基づき正解を出すかもしれない。

しかし私たちに必要なのは「正解」ではなく「新しい答え」だと思う。

■■ 編集後記 ■■

「魅力工学」なんとも魅力的な響きを感じます。
当たり前品質から魅力的品質。顧客満足から顧客感動。工学の世界も人の心を取り扱う様になるのでしょうね。


このコラムは、2018年8月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第701号号に掲載した記事です。

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