運行停止判断、なぜ遅れた? 「のぞみ34号」トラブル


最高時速300キロの「のぞみ34号」の台車は破断寸前だった。乗務員は異音などの兆候を察知していたのに、途中駅で「異常なし」と引き継いでいた。

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(デジタル版朝日新聞より)

 人身に関わる事故が発生した訳ではないが、重大なヒヤリハット事故だ。
報道から読み取れる事実を時系列に整理すると以下の様になる。

13時33分:のぞみ34号博多駅出発
13時50分頃:乗務員が異臭を報告
      13号車乗客が「もやがかかっている」と申告。車掌も確認。
15時15分頃:岡山駅で保守点検者が乗車。新神戸駅で点検を提案。
      運送指令が問題なしと判断し、運転続行。
16時頃:新大阪到着。保守点検者下車。
    運転手、車掌は「異常なし」とJR東海に引き継ぎ。
16時20分頃:京都駅出発後車掌が異臭を確認。
17時頃:名古屋駅にて車両床下で亀裂油漏れを発見。走行不可能と判断。

今回は何事もなく運行(ほぼ定刻運転だったと推定される)出来たが、脱線事故で多くの死傷者が発生する可能性があった重大インシデントだ。

小倉駅を出発した時点で予兆を発見している。
少なくとも岡山駅で保守点検者が乗車した時点で車両床下を点検すべきだった。

報道によると、岡山駅で保守担当者は輸送指令に「次の駅で止めて点検したらどうか」と進言している。ところが、輸送指令は「運行に支障はない」と判断。

JR西日本は今回のトラブルを受け、社員教育のあり方を改善するほか、「音、もや、臭い」などが複合的に発生した場合は直ちに運転を見合わせ、車両の状態を確認することを徹底するという。「脱線事故後(2005年4月に発生した福知山線脱線事故)、『安全性を最優先する』とやってきたが、生かされていなかった。安全をさらに高めるために努力していきたい」とJR西日本社長は言っている。

この問題の根源は、社員教育や運行判断基準ではない。JRの組織文化に問題の根源が有ると考える。
車両区、指令区、運転区など部門ごとの縦割り組織が国鉄時代から続いているのではなかろうか?部門ごとで責任を押し付けあう体質が残っていないか?

保守点検者は「次の駅で点検してはどうか」と進言するが、指令区から運行続行を指示され従ってしまう。自分の仕事に責任と誇りを持っていれば、次の新神戸ではなく、岡山で車両床下に潜り込んで亀裂を見つけていただろう。
現場から離れた指令区の座席に座ったまま下した運転続行判断が優先される。
運転手、車掌もJR東海に引き継げば責任は終わり。

全てが「定刻運転」第一優先の様に見える。

あくまでも外から眺めた印象だ。事実誤認が有ればお詫びするが、JR職員の方々に問題があるのではなく、JRの組織文化に問題があるのではないかという提言と受け取っていただきたい。

問題の責任を追及する組織は、責任を逃れる、問題を隠す組織風土が生まれる。
問題の原因を追及する組織は、問題を共有し、改善を進める組織風土を持つ。


このコラムは、2017年12月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第607号に掲載した記事に加筆したものです。

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