続・見えない部分の品質


 先週のテーマ:見えない部分の品質について,メッセージをいただいた.

※F様のメッセージ

今回の事例中華圏に住んでいれば いやでも何回かは体験しますね。
おそらく図面にはきちんと指示があるのに、工員が自分でこんなもんで良いだろうと勝手に判断した為だと思います。さらにそれを指摘するとそこまではユーザは注意して見ないだの そんな事は機能に影響ないだとかそれではコストが高くつくだの 必ずくだらない言い訳をします。自分達で認めているのです。『自分達の商品は安かろう 悪かろうだ』と。『それでも 儲かればそれでいいじゃないか』『買った方は非常に安く買えた 売った方は儲かった』 いわゆる商人の発想で 決して職人さんの発想では無いのですよ。物作りにプライドは不要なんでしょう 彼らは 

顧客が安いものを要求しているのだと分かっているのならば,それでもいいのかも知れない.しかしプロジェクタースクリーンを購入するということは,プロジェクタを持っているということだ.
そういう顧客が安い製品を要求しているのだろうか?

顧客が手に入れたいのは,モノだけではない.モノを手に入れたことにより,便利になったり,豊かになる生活だ.「品格」のないスクリーンではがっかりする顧客の方が多いだろう.

F様は,作業員や現場のリーダが図面どおり作らないと想定されているが,私は製造図面がないということもありうると思っている.

現実に以前指導していた,中国工場(ローカル資本)は製造図面がなかった.作業指示書もない.彼らは設計部門から出てきた製品の分解図だけで生産している.その図面を見てラインリーダが,工程順を決め作業員を配置して生産するのだ.
ある意味,この工場のラインリーダは高い能力を要求されている.

従って,同じ製品でも生産するラインによって,作り方が違う.その結果,製品を詳細に見ると出来上がりも違う.工芸製品ならば,一つ一つが違っているのも味のうちかもしれないが,これでは工業製品とはいえない.


このコラムは、2010年10月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第173号に掲載した記事です。

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