マニキュアに発がん物質 ダイソー、一部販売を中止


マニキュアに発がん物質 ダイソー、一部販売を中止

 100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業(広島県東広島市)は17日までに、マニキュアの「エスポルールネイル」の一部商品から発がん性物質のホルムアルデヒドが検出されたため、販売を中止したと発表した。健康被害の報告はないとしている。

 同社によると、エスポルールネイルは8月発売で全148商品あり、検出されたのは「5 ビーチピンク」など26商品。自主回収し、購入者には返金する。全商品の検査を月内に終える予定で、検出されなかった商品の販売は続ける。

 大創産業は「直ちに重篤な健康被害が発生する可能性は極めて低いが、敏感な体質の場合、アレルギーのような反応を起こす可能性がある」と説明。混入原因を調べている。商品は大阪市の会社が中国で製造し、発売後の自主検査で発覚。管轄する大阪府に報告した。

(日本経済聞電子版より)

 ダイソーは、生産委託時(又は商品購入契約時)にホルムアルデヒド非含有を確認し、製品仕様に明記しているはずだ。記事には自主検査で発覚とある。定期的に自主検査をしていたが、店頭に並んでからホルムアルデヒドを検出してしまったのだろう。

混入原因は調査中との事だが、いくつかの可能性がある。

  • 4M変更による混入
     通常4M変動は意図的に発生するモノだ。従って変動後の確認を徹底していれば、回収は防げたはずだ。
  • 意図しない事故で混入
     意図しない「変更」が発生する事により混入があったとすると、事前に確認する事は不可能だ。生産ロットごとに非含有を保証する仕組みが必要となる。

4M変動が発生しているのに、変動管理手順が実施されない事もあり得る。この場合も生産ロットごとの保証が必要になる。

生産ロットごとの抜き取り検査もロット保証の手段となるが、以前発生したインスタント焼きそばのゴキブリ混入のような事故は、抜き取り検査では見つからない。

どのようにマニュキュアを生産しているのか分からないが、加工バッチごとに検査する事が可能だと思える。瓶詰め工程後にホルムアルデヒドが混入する事は考えにくいので検査により100%製品保証できるだろう。

納入後の抜き取り検査は100%保証する事は困難だ。しかもコストがかかる。上流で管理するのが品質保証の鉄則だ。

インスタント焼きそばの事故は、幸いにして多くのファンの支持により業績に影響を及ぼすような深刻な事態には発展しなかった。
しかしダイソーの様にいくらでも代替えが効く商品を取り扱っている業態では回収・販売停止は深刻な影響になりかねない。


このコラムは、2015年10月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第446号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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