先週のメルマガにこんな事を書いた。
「チャンスを逃したと知っている人はまだいい、次のチャンスのために準備すれば良いのだ。しかしチャンスを逃した事すら知らない人は、改善することは難しい。」
これを書いた時に、世の中には「知っている事」と「知らない事」があり、更に「知らない事すら知らない事」がある事に気がついた。言葉遊びの様で恐縮だが、「知らない事を知っている人」は調べることができる。しかし「知らない事を知らない人」は調べる事すら出来ない。
例えば、日本国内で使用する電源プラグコードは全て電気用品安全法と言う法規に適合していなければならない事を知っていれば、電気用品安全法適合マーク(PSEマーク)が入った電源プラグコードを購入することができる。しかし電源プラグコードが電気用品安全法の適用を受ける事を知らないと、安全規格に適合していれば大丈夫と考えてしまう。
以前日本の大手電気メーカが、自社製品にPSEマークのない電源プラグコードを添付して販売してしまったことがある。このプラグコードはUL/CSA安全規格に適合しており、問題ないと判断してしまったのだろう。
ミスを犯した人間の上司は、当然確認義務があったはずだが、部下が知らない事を知らなかったため、チェックが出来なかった。
後半は私の想像だが、部下が知らない事を知らなかったために「安規は大丈夫か(PSEマークはあるか)?」と確認したが、部下は「ハイ。(UL/CSA)規格適合品です」と答えたのだろう。
本当は括弧の部分が重要なのだが、相手が知っていると油断している場合は、この様な事が発生しそうだ。
新人の場合は、知らない事を知っているので問題は起きない。
中堅の部下、中途採用の経験者などは「知らない前提」で対応した方が安全だろう。
ミスはミスを犯した者の責任と考えている上司にはこういう発想は出来ない。
このコラムは、2014年3月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第354号に掲載した記事です。
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