メンテナンス・修理工程


 先週配信のメールマガジン第745号でライオンエアのB737MAX機の墜落事故を取り上げた。墜落の原因として仰角センサー(AOA)の故障(メンテナンス修理問題を作り込んだ)という仮説で、修理・メンテナンス時に問題を作り込む可能性について検討した。

(ブラックボックスの解析により対気速度計の故障により、機体の速度、高度が異常値となっていたことが判明したようだ)

この記事に対して読者様からメッセージをいただいた。

※O様のメッセージ
 初めまして。いつも配信を楽しみにしています。
私も今まさしく、「修理過程で不具合の要因を作ってしまった」という場面に接しています。修理が発生すると、「以前もこうやって修理した」という、作業者の経験に依存して工程を完了してしまうように感じています。世界市場で有名な企業でも、日本の町の小さな工場でも、不具合の規模こそ違えど、発生する品質の問題は類似していると思いました。

航空機の機体整備を製造業の観点で見直すと、設備点検・メンテナンスに相当するだろう。視野を広げれば、生産ラインでの修理作業も同類になる。

量産品の生産ラインでは、事前に故障モードを洗い出し、故障部位の特定方法、修理方法などをあらかじめ決めておく。ほとんどの場合は、類似の製品を過去より継続的に生産しており、過去の経験智を活用できるだろう。

それでも問題は発生する↓(苦笑)
顧客クレーム(誤出荷)

量産機種の良いところは、不良現象の蓄積が早いこと、修理要員の習熟が早いことだ。なにせたくさん作るので不良数も多い(苦笑)

一方、一品モノの生産となるとなかなか不良事例が集まらない。修理要員も不良箇所を突き止めるのに時間がかかる。修理手順も確立できていない場合が多い。設備点検・メンテナンス修理も同様だ。

これらの修理作業を経験・記憶に頼らず、経験・記録により累積できるようにするのがコツだと思う。

この記録をFMEAの潜在不良として蓄積する。
(工程FMEAに展開するよりは、機能ごとに潜在不良を蓄積し設計FMEAに近い形にする方がよかろう)これにより作業員や修理要員の経験智を累積することができ、共有が可能となる。

このような作業をするときは、現象から原因を推測する帰納法と、原因から現象を予測する演繹法を行ったり来たりしながら分析をする。このような訓練を積めば、生産開始前にあらかたの不具合は対策済みになるはずだ。


このコラムは、2018年11月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第747号に掲載した記事に加筆しました。

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