国土交通省は6日、大地震時の液状化を防ぐ羽田空港の滑走路の工事で施工不良の疑いがあることが分かり、施工データも改ざんされていたと発表した。
同省関東地方整備局は、施工した東亜建設工業(東京都新宿区)に調査を指示した。(朝日新聞電子版より)
この手の事件が頻繁に再発している。
マンションの杭打ちデータ捏造、車の排ガス規制逃れ、車の燃費データ捏造。
すぐさまこの3件くらいは思い出せる。なぜこの様な不祥事が再発するのか?再発防止は不可能なのか?ちょっと考えてみたい。
当然だが、不正を働く側はばれないとタカを括っているからこういう事案が無くならない。しかしほとんどの場合は内部告発でばれる。情報を内部にも漏らさなければ告発は不可能だ。しかし現場で作業をする人間に秘密に出来るはずは無い。では口止め料を握らせる?多分逆効果だろう。
内部告発を止める方法は無いと考えた方が良いだろう。
しかし内部告発が起きない方法は有る。顧客、従業員、取引先、社会に対して誠実に仕事をする事だ。これを守れば、告発すべき内容が無くなる。
期限切れ食材使用の問題、データ改竄、リコール隠しなど幾多の過去事例から学べる唯一の方法だ。
工場の品質保証をしていると、普段はデータを捏造する必要はない。
しかし出荷品の不良や、顧客監査時の指摘事項などでウソの報告をしたくなる事は有るだろう。しかし一度ウソをついてしまうと、その後整合性を保つため更にウソを重ねる事になる。
絶対にウソはつかない。それが現役時代品質保証部の仕事をしていた時の鉄則だった。しかし顧客に心配をかけるのは本意ではない。ウソはつかないが、言う必要がない事は言わない、と言うポリシーだった(笑)
前職の会社では、第一出荷ロットで「出荷判定会議」をするのが決まりだった。
ある製品で、最初の生産で直行率が99.3%だった。出荷判定の条件は満たしていたが、0.7%の不良が全て同じ部品の不良であり、部品メーカからの不良解析報告はまだ入手していなかった。
この不良モードが波及性を持っているとすると、検査合格の製品にも何らかの問題が有るはずだ。出荷を止める事を決断し、翌日顧客に報告に行った。
当然叱られると思っていたが、逆に褒められた(笑)
その後部品メーカから報告書が届き、部品製造時に設備に不調が有り、ロット全体に波及する不良と分かった。
黙って出荷してしまっていれば、この報告書が届いた時点で製品回収をお願いする事になったはずだ。既にエンドユーザに出荷が済んでいれば、市場回収だ。そうなった場合、品質保証部門長として、事業部長に市場回収を説得出来ない可能性だってありうる。
被害が拡大する前に正直に言ってしまえば、何でも無い事の方が多いはずだ。
このコラムは、2016年5月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第475号に掲載した記事です。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】