続・のぞみ34号トラブル


負の連鎖が引き起こした亀裂『偶然発生でない』

 新幹線のぞみの台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題で、台車の鋼材が薄く削られた経緯などを検証した川崎重工業の委員会は28日、製造元の同社内のコミュニケーション不足に過度な現場依存が加わる「負の連鎖」が引き起こしたとの結論を明らかにした。新幹線の重大事故に繋がった恐れのある台車の製造不備は、現場任せの企業体質に原因があった。

(以下略)全文

(産経WESTより)

山陽新幹線のぞみ34号の台車に亀裂が入ると言う重大インシデントに関して以前このメルマガでも検討した。

「運行停止判断、なぜ遅れた? 「のぞみ34号」トラブル」
「のぞみ34号トラブル」

調査によって明らかになった経緯詳細については、上記新聞記事をご参照いただきたいが、概略をまとめると以下の通りとなるだろう。

亀裂が入った「側バリ」を製造していたメーカが鉄道用部品の生産から撤退。代替えメーカに対して現場監督職が「台座鋼材を削ってはいけない」と言う注意事項を伝えていなかった。

台座鋼材を削ったため、強度不足となり軸バネの弾性応力により徐々に亀裂が入った。

製造時の注意事項をまとめた「作業指導票」は、強度に影響が及ぶとして台車枠の鋼材を削ってはいけないと規定してあった。しかし仕入先メーカが削ったのが原因と読める。

生産移行前のメーカは同じ問題を起こしていない。と言うことは、代替えメーカにおける問題点は以下の二通りとなるだろう。

  • 代替えメーカに正しく製造仕様が伝わっていなかった。
  • 製造仕様は正しく伝えたが代替えメーカが正しく作業しなかった。

側バリは列車の安全重要部品と思われる。
生産工程の変更という4M変動に対してきちんとレビューができていなかった、というのがJR側の問題点だ。

代替えメーカを指導した現場監督職にとっては「台車鋼材を削ってはいけない」というのは常識であり、伝達する必要を感じなかったかもしれない。
また「作業指導書」の規定も理由が書いてなければ、その重要性は理解されない。

記事によると、メーカ変更時に設計、製造、品証の各部門がレビューをした様だ。しかしそのレビュー内容が生産指導に出かけた現場監督職に伝わっていなかった。初品生産時に生産現場の監査が適切に行われていなかった、などの隠れた問題点がまだありそうだ。

「初品」の検証は出来上がった製品の検証だけでは不十分だ。その後に生産される製品も品質が保証できるかどうかを検証せねばならない。現場作業員が正しく生産方法を理解している。そして作業員が変わってもそれが保証される仕組みがある、ということも検証せねばならない。


このコラムは、2018年10月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第730号に掲載した記事です。

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