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帰宅難民

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 先週の大雪により、首都圏を相当混乱した様だ。帰宅時間帯にターミナル駅で入場規制が行われている映像を見た。若い頃金沢に住んでおり、太平洋側大都市の積雪に対する脆弱性を嗤って、雪かきの憂さ晴らしをしたものだ(笑)

帰宅難民に関して冷泉彰彦氏がメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』に面白い論考を書いておられた。

大雪の予報が出ていたにも関わらず多くの帰宅難民が発生したのは、目で見なければ納得しない、実際に何かが起きて実感しないと動けない、という日本人の悪しき習慣によるものだ、と冷泉氏は指摘している。

「雪が積もり始めないと退社の決断ができない」
「鉄道が運休になって初めて帰宅指示が出た」
など笑えない事例は、情報入手の速度、判断の速度以前の問題であり、「先走って判断したら外れた時に非難を受ける」という組織文化、「見える化しないと動けない」という心理的習性が日本の組織にある、と冷泉氏は指摘している。

三現主義は、現場で現物を手に取り現実をきちっと見て判断せよ、と教える。
したがって見える化しないと動けないという弊害を生むのだろうか?

私には別の日本的習性が帰宅難民問題を発生させたのだと思える。
それは「横並び習性」だと思うがいかがだろう。

「全員即刻退社」と指示をすれば、皆すぐに退社する。
「帰宅困難になりそうな者は早めに退社」と指示をすると、互いの顔を見合いなかなか退社できない。こういう習性がないだろうか?
つまり集団の中で、突出するのを避ける。個よりは群れを尊重する。農耕民族であり村社会の日本に、ありそうな習性だ。

しかしこれは日本人だけの習性ではない様だ。
米国心理学者・アッシュのは次のような実験をした。8人中7人がサクラで、簡単な問題に一斉に答える実験をする。7人のサクラがわざと間違った答えを示すと、被験者も間違った答えを選択する傾向にあるそうだ。これを「集団同調行動」という。

人為ミスと簡単に片付けてしまう問題・事故も人の心理に迫る分析をすれば、より有効な再発防止対策を見つけることができるはずだ。

参考:「ヒューマンファクター10の原則」


このコラムは、2018年1月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第622号に掲載した記事に加筆したものです。「今週のニュースから」は「失敗から学ぶ」と改題し同じ趣旨で継続執筆しています。

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ミスをなくす作業方法

 人為ミスが発生すると、ミスの原因を十分に調べないで「作業者に再教育」「作業者に注意するよう指導」などという再発防止対策を、報告書に書いていないだろうか?
もちろん教育・訓練や指導は重要であるが、これでは効果を期待できない。

人為ミスが発生した原因を、行動まで分解して、どこに問題が有るのか突き止めれば、有効な再発防止をすることができるはずだ。

日本にはすばらしい工場がある。「日本で一番大切にしたい会社」で紹介されている日本理化学工業だ。

この工場は、知的障害者を積極的に雇用している。全従業員の70%は知的障害者だ。

知的障害を持った作業員たちが、工場で製品を作っているのだ。
当然ミスは頻発する。それをミスが起きないようにどんどん作業方法を改善してきたのだ。

例えば原材料の投入は、正確に材料配分を計量しなければならない。
量り間違えれば、全部不良だ。こういう工程も、障害者が担当している。

材料ごとに、材料の棚、コンテナ、投入用のバケツが同じ色にしてある。
そして計量用の分銅も同じ色だ。
このような作業方法の工夫によって、ミスが起きないようにしている。

こういうのがホンキの再発防止対策だ。
人為ミスが発生したときに、安易に「作業員の再教育」と言ってしまうのが、恥ずかしくさえ思える。