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リードタイムの短縮

 先週の「ニュースから」にご感想をいただいた。

☆gok45様
 現状が、とても分かりやすい内容です。

記事の最後に書いたリードタイムに関してもう少し説明を加えたいと思う。

リードタイムというのは、受注してから納入するまでの時間のことを言うが、今日は材料を投入してから出荷までの「製造リードタイム」について考える。実際の作業にかかる時間を「手番(テバン)」という。正味の作業時間の事だ。

リードタイムが手番の10倍近くになってしまっている工場が、意外に多い。
これは中間に手待ちや停滞がそこいらじゅうに入るから正味作業時間の何倍も時間がかかって製品が完成するわけだ。

規格製品を大量に作っている場合は、このリードタイムはあまり気にならなかった。つまり毎日どんどん作って出荷してゆけば、リードタイムが長いのは最初の出荷のときにしか気にならない。(経営的には部品調達から売上回収までの時間がかかるので資金繰り的には不利になる)

しかし規格製品がどんどん売れるという前提がなければ、同じ物を毎日作ることなどできない。今はまさに同一規格製品が売れない時代である。

日々変化する消費者の要求に合わせてモノ造りをする場合は、リードタイムの長さは致命傷だ。お客様が今日欲しい物を今日作る。これが究極の姿だ。
先週の例では、リードタイムを極限まで短縮すれば、吊るしのスーツではなくイージーオーダーのスーツを受注できる。当然吊るしのスーツよりはイージーオーダーのスーツの方が高く売れる。
ビジネススタイルまで変えられる。

ではどうすれば、リードタイムが短くできるのか。
リードタイムが短くできない工場は、どこで時間がかかっているのか見えていない事が多い。まずは工程の流れを看える化する。
看える化ができれば、どこを改善すれば良いか分かる。リードタイムの短縮はできたも同じだ。

今までお手伝いして来た工場でも、

  • リードタイム24時間かかっていたのが4時間になった。
  • リードタイム10日かかっていたのが1日になった。

という事例もある。


このコラムは、2009年4月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第95号に掲載した記事です。

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やる気を出せ

 部下がぼんやりしていてやる気が感じられない。自分自身もやる気が出ない時がある。そもそも「やる気とは何か」という問いに明確に答えられない。そんなモヤモヤした状態で考えてみた。

脳科学者の池谷裕二氏はこう言っている。「やり始めないと、やる気は出ない。脳の側座核が活動するとやる気が出るが、側座核は何かをやり始めないと活動しない」つまり「やる気を出そう」と念じてもやる気は出ない。まず始めることでやる気が出る、ということのようだ。

例えばジムに行こうと思っても、なかなか準備ができない。グズグズしている内に時間が経ち「今日は休みにしよう」となる。私の場合は、帰宅して部屋の扉を閉めると、運動着と靴が入っているスポーツバックが目に入る。給水器の横にあるボトルを手に取り水を入れる。ここまでの動作ができればそのままバックと水筒を手にジムに行くことができる。当然ジムに着けば着替えて運動することになる。

つまり池谷氏の言う「やり始めないとやる気は出ない」を準備済みのバックを見ることでトリガが働き、水筒を準備しジムに行くと言う行動が側坐核を刺激する、と言うメカニズムのようだ。

読みたい本を目に入るところに置いておく。こんな簡単なことで読書量が増えたりするようだ。少なくとも本屋にゆけば本が買いたくなる。買えば読みたくなる。行動のトリガで読書習慣が身につく。

つまりやる気を出そうと努力するより、一歩前に出る行動がやる気を出す秘訣と言うことのようだ。


このコラムは、2022年10月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1359号に掲載した記事です。

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生徒の母印取り「遅刻しません」誓約書 福岡の中学校長

 福岡県うきは市の市立中学校長(57)が08年の2学期、指導に従わなかった生徒数人に、「遅刻はしません」などと記した誓約書に署名させたうえに、母印も押させていたことが28日分かった。これを知った教員からは「威圧的な行為で驚いた。生徒指導の範囲を越えている」という声が出ている。

 同市教育委員会は08年11月、市民からの訴えを受けてこの校長から事情を聴き、事実関係を確認した。しかし、「行き過ぎた行為だったが、熱心さのあまりやってしまったこと」として懲戒処分などはしなかったという。

 一方、県教委も今年3月末、保護者らから「母印を押させるのは問題だ」との訴えを受けたという。義務教育課は「通常考えられない指導であり、事実関係を調査している」と話している。

 校長によると、母印を押させたのは今春卒業した当時の3年生と、当時2年だった現3年生の合わせて7、8人。日ごろ、問題行動が目につくことから校長室に呼び出し、「遅刻はしません」「ノーヘル(ヘルメットなしの自転車乗車)はしません」「服装をきちんとします」「授業をまじめに受けます」などと記した誓約書を渡し、署名、押印させた。誓約書は校長が自ら作成したという。

(asahi.netより)

 この校長先生は私と同年代だが、この記事には大変違和感を持った。問題視する教育委員会や父兄の方に問題があるとしか思えない。
問題を起こしてしまった時に「始末書」を書いて捺印するのは大人の社会では当たり前のことだ。捺印の代わりに母音を押すのは犯罪者だけではない。生徒が約束を守れなかったときに「始末書」を書かせただけだ。

約束を守れない生徒達をこのように甘やかして社会に送り出すことのほうが大問題だ。しかも担任の先生ではなく校長先生がしている。本来現場の指導責任を持っている担任の先生は何をしたのだろうか?

PTAからのクレームを恐れ何もしなかったのではなかろうか?
保身しか頭にない人間に教育者になる資格はない。

もちろんこの校長先生の指導方法が優れているとは思っていない。

以前指導していた中国工場で、掲示板に「不良を作りません」とA4の紙に何度も何度も書いたものが作業員の署名入りで貼り出されていた事がある。多分注意しても不良が減らない作業者の指導に困った班長が、昔学校で先生に課せられた「罰」を思い出してやらせたのであろう。
無理もない昨日まで作業員だった出稼ぎの少女が何も教育を受けずに班長に昇格しただけなのだ。

しかし経験の長い校長先生がこの班長と同じレベルの指導しかできないのでは困る。
生徒が約束を守れない理由をしっかり理解してやり、一緒に約束を守る方法を考える。「うっかり約束を守れない」人には「しっかりルールで約束を守る」方法を指導しなければならない。

中学生の指導も工場作業者の指導も同じだと思う。


このコラムは、2009年5月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第96号に掲載した記事です。

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ゼロエミッション工場

 友人が広東省の田舎の方に新しい工業団地を造るつもりだと聞かされていた。
その後忙しさにかまけてご無沙汰を決め込んでいたが、「華南マンスリー」という月刊雑誌に彼の工業団地の記事が出ていた。

工場内の空き地を利用して農業をやっているそうだ。
従業員食堂の残飯を堆肥にして野菜を栽培する。その野菜は従業員食堂の食材になる。これぞ究極のゼロエミッション工場だ。

製造4.5課というのが農業担当の部署だそうだ。彼らの努力が実り従業員食堂だけではなく市場にも緑色食材を供給する事が出来れば、製造4.5課は製造5課に格上げされる。

中国では農産物の量、質(安全)ともに不安がある。
農業がこれからの有力ビジネスになるに違いない。日本にも大学生が就職希望に来る農場があると聞いている。

彼の工場では不況で生産量が落ちても、従業員を解雇しない。空いた時間で人材が活性化する活動を行っている。
まさにピンチをチャンスに変える発想だ。
これも人材のゼロエミッションと考えても良いだろう。


このコラムは、2009年4月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第92号に掲載した記事です。

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社内公募制度

 原田師が経営していたSOLID社は、作業員から文員(オフィスワーカ・間接職員)に登用する制度がある。間接職員約400人の内85%は元作業員出身である。文員になるためには、筆記試験に合格し、面接試験(人民裁判:各部門の部長が陪審員として参加する)に合格しなければならない。試験問題は、社内にあるマニュアルからランダムに問題が出題される。

従って、文員になりたい者は必死で勉強することになる。
外部から間接職員を招聘する場合、仕事の経験を条件とするだろうが、それは他社での経験であり、入社してすぐに力を発揮するとは限らない。入社しても、会社の文化が合わずにすぐに退社する者もあるだろう。
もっとも頭が痛いのは、中途で採用した者の給与が、従来からいる職員の給与体系に合わず、歪が生じてしまうことではないだろうか。

その点、内部登用による文員への昇格ならば、すでに会社の文化を理解し、社内マニュアルを必死で勉強した者が職位に付くので、そのような心配は必要なくなる。
採用にかかるコストも必要ない。

また新しいポジションができると、社内公募がかかる。
工場の中にある売店の職員も、社内から公募された従業員である。工場内の売店といえ、馬鹿にしてはいけない。近隣のどこより安い価格で販売しながら、月平均で15万元の売り上げがある。過去最高の売り上げは一ヶ月70万元だったという。店頭在庫は5万元程であり、市中のコンビニと比較すると信じられない棚卸し回転率だ。

この場合公募試験に出題される試験問題は、該当職場の業務マニュアルから出題される。従って公募で合格した者は、その職位に着任前に、業務マニュアルの内容を熟知していることになる。


このコラムは、2010年2月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第138号に掲載した記事です。

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子供をやる気にさせる4つのスイッチ

 たまたま幼児教育で有名な横峯吉文氏のこんな文章を見つけた。

子供をやる気にさせる4つのスイッチ

  • 子供達は競争することが好き
  • 子供は真似したがる
  • 子供はちょっとだけ難しいことをやりたがる
  • 子供は認められたがる

この「子供」という文字を「従業員」に置き換えても通用しないだろうか。
特に若手中国人従業員に良く当てはまる。

今様の日本の若者と違って、中国の若者は自分の気持ちを真直ぐ見せることを
「恥ずかしい」とも「ダサい」とも思っていない。
中国の若者を子供っぽいと言っているわけではない。
素直であり、自己成長意欲に対して正直なだけである。

中国の若者をやる気にさせる4つのスイッチ

  • 中国の若者たちは競争することが好き
  • 中国の若者は真似をしたがる
  • 中国の若者はちょっとだけ難しいことをやりたがる
  • 中国の若者は認められたがる

「あ~、あいつ等ときたら」と溜息をついていないで、良い面を凝視してそこを利用して成長を即せば良いのだ。
信じてやる、期待をかけてやる、そうすれば必ず応えてくれるものだ。


このコラムは、2010年2月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第139号に掲載した記事です。

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救急隊が「死亡」判断、実は生きていた 脈拍気づかず

救急隊が「死亡」判断、実は生きていた 脈拍気づかず

 ゲートボール場で倒れていたホームレスの男性(51)を、救急隊員が「死亡」と判断し、警察署の検視室に運ばれるミスが10日、さいたま市西区であった。男性は、約1時間後に検視室で意識を取り戻した。入院したが、命に別条はないという。男性を運んだ市消防局は「起きてはならないことが起きてしまった」と平謝りだ。

 同局などによると、男性は布団にくるまって倒れていた。通行人の110番通報を受け、同日午前9時53分、桜消防署大久保出張所の救急隊3人が現場に到着、隊長と救急救命士が男性の状態を観察。顔が青白く、体は冷たく、両腕を上げても反応がないことなどから、約10分後に死亡と判断し、大宮西署の警察官に引き継いだという。

 「死因」を調べるために男性は署内の検視室に運ばれたが同11時ごろ、意識を回復し、まばたきを始めた。検視準備中の署員が気づき、呼吸していることを確認した。

 隊長は「脈拍は測ったが感じられなかった」と話しているという。ただ、男性の鼻や口元に耳を当てずに衣服の上から胸の動きを見て呼吸の有無を判断し、意識確認の際も患者の肩をたたいていないなど、市消防局の基準にある行動を怠っていたという。

 小池健一市消防局長は「基本動作を怠っており、緊張感が欠如していた。再発防止に努める」と謝罪した。

asahi.comより)

 心が痛む事件である。もしもこの男性が、高級住宅地の寝室で倒れていたら同じミスが発生しただろうか?

少なくとも日本は、貧富の差無く人の命は等しい重みを持つ国であって欲しい。ひところ、若者の「浮浪者狩り」が問題になった。社会に貢献できない弱者の命を、軽んじる風潮は、成熟した社会が持つものではない。弱いものを守り助ける社会こそ豊かな社会といえるだろう。

若者を指導しなければいけない大人が、しかも人命を救う職務を担ったものが、基本動作さえ守れないというのでは情けない。救急現場に出て、基準作業をするのは最低限の任務だ。人の命を救うのが使命ならば、基準動作を超えた水準を目指すべきだ。

ところで生産現場でも、同じようなことがある。
作業員や現場リーダが定められた標準作業を怠り、品質問題を発生させることがよくある。

毎月開催している「人財育成勉強会」でも、作業者にどうしたら標準作業を守らせることが出来るかを議論したばかりである。

  • 守れない手順になっていないか
  • 作業と作業指導書の乖離をなくす
  • 国民性、民族性のせいにしていないか
  • 教えるより環境を変える
  • 作業指導書が守れない理由をとことん調べる
  • 優先順位を理解させる
  • 現場監督職の力量を上げる

このコラムは、2010年2月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第139号に掲載した記事です。

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ヒューマンフレンドリィ

 デジタルデバイドという言葉が流行り始めている。最近情報の閲覧や入力がスマホなどのデジタル機器に対応する様になり便利になっている。その利便性の恩恵に預かるのは、生まれた時からデジタル機器が身の回りにある年代に限られるのではなかろうか?最初に手に入れたコンピュータはAppleIIという8bitCPU6502搭載のマシンだった私は、必ずしもデジタル弱者とは言えないと思っている。しかし最近、誤操作をしてしまうことが増えた。加齢のためではない、と断言したい。例えばメッセージに返事を入力している時に、やり直しをしようとして「取り消し」のボタンを押すと、返信ではなく受信メッセージが消えてしまった。当然返信作業中の取り消しは返信の取り消しと考えるのが普通だろう。

デジタルデバイドというのは必ずしも、利用者側の問題ではない。
製品・システムの提供者側が「マシンフレンドリィ」に偏っている様に思う。「ヒューマンフレンドリィ」という言葉がしばしば使われ、種々工夫して来た。しかし最近は「マシンレンドリィ」に逆戻りしている様な気がする。

当然、現在製品やインターフェイスを設計するエンジニアは、生まれた時からデジタルデバイスに囲まれたデジタルネイティブだろう。彼らにとってマシンフレンドリィとヒューマンフレンドリィの境界が、我々世代と違うのかも知れない。

製品の検証チームに高齢者を参加させるべきと考えるが如何だろう?


このコラムは、2022年4月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1283号に掲載した記事です。

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送迎バス園児取り残し

 沖縄県糸満市の市営バスで16日夕、車内に小学生の児童1人が一時取り残されていたことがわかった。児童は10分後に窓を開けて自力で脱出し無事だった。運転手が確認を怠ったという。市が22日、発表した。
 市によると、児童は16日午後4時12分、予約制の巡回バス「いとちゃんmini」(10人乗り)に乗車。眠って目覚めたときには車内に誰もおらず、携帯電話で母親に連絡した。母親の指示でクラクションを鳴らしたが誰にも気づかれず自力で窓を開けて下車。バスは終点の営業所に停車しており、そこで保護されたという。
 児童の降車地はバスに登録されていたが、運転手は停車せずに通過。午後5時2分ごろ終点についた際も、児童に気づかずに施錠したという。バスを運行する会社から報告を受けた市は20日、保護者に謝罪した。

(朝日新聞 9月23日朝刊より)

 この手の事故が何度も再発している。自分のところでは発生しないと過信しているため、有効な再発防止策がとられていないのだろう。

自分の園では発生していいないので「再発防止」は不要だと考えている自信過剰な人はいないだろう。他所で発生した事故の再発防止は「勉強代」無料で事故防止できるのだから、積極的に再発防止対策を実施すべきだと思う。

何度も同様の事故が発生している原因は「注意する」「ダブルチェックする」など効果が期待できない再発防止対策しかできていないためだ。 

2人でチェックする、など非効率な方法は「忙しければ」おろそかになる。園長先生の事故も発生している。職場の上下関係があれば「園長先生のやったことをチェックする」というのは若手の先生には心理的負担になるかも知れない。

ムダな手間をかけずに、簡単にできる方法を考えるべきだろう。
今回のように「子供にスマホを持たせておく」というのは家族ができる再発防止対策だ。しかし事故の責任は幼稚園側にある。バスの運行で対策を考えるべきだ。

運転を終了しバスに鍵をかける前に、運転手又は添乗員が一番後ろの席まで行かねばならないような仕組みを考える。

例えばバスの扉を閉めるための鍵をエンジンをかける鍵と別にする。その鍵は最後列に置いておく。バスの通路を目を瞑って最後列までゆく運転手はいないだろう。子供が寝てしまっていても目に入るはずだ。

運転手が休みで園長先生が送迎バスを運転。外出中に園長先生宛に電話があり、園に到着時に若手先生が折り返し電話の伝言を伝え、園長先生は残っている子供のチェックをせずに自室に向かう。閉めずに走っていった園長先生のために若手先生は扉を丁寧にバスの扉を閉めてしまう。こんなことがありそうだ。

運転手が到着後、別の人間が扉に鍵をかけるときもバスの最後列まで行かねばならないようにしておく、それを知らない職員はバスの扉に鍵をかけることができない。こんな手順を実装しておけば、手順を知らない運転手が運転しても事故は起きないはずだ。

通常は鍵のかけ忘れの事故の方が多いだろう。鍵をかけてしまったため事故が発止するという珍しい事例は、即再発防止をそれぞれの現場で考えた方が良かろう。


このコラムは、2022年9月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1351号に掲載した記事です。

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ムダ取り

 生産改善の仕事をするときは、まずモノの流れを見えるようにする。そして作業のムダ取りに多くの時間を割いている。機械化による人員削減を考えておられる工場でも同じだ。
作業改善をせずに機械化してしまえば、ムダも一緒に機械化してしまうことになる。

ボトルネックになっている作業のムダ、ムラ、ムリを省く。モノの置き方、手の動かし方を最適にすれば、2秒3秒とサイクルタイムが短くなる。小さな改善だが、これをすることにより、一緒に改善活動をしているメンバーがこつを飲み込むのを目的にしている。この小さな改善は、現場が継続して行かなければならない仕事だからだ。コンサルの仕事が終わった後でも、改善を継続するためには、現場の改善力をつけなければならない。

各工程のサイクルタイムがタクトタイムに対して余裕が出てきたら、工程間で作業の組み換えをして、作業員を抜いてゆく。省人化により改善の効果が加速してくる。この段階で半自動化を検討すると、効果は更に加速する。

4人で分担していた作業を、半自動機でナガラ化し3人減らしたこともある。
前段で、工程の流れをすっきりさせ、作業のムダ取りをしなければ、うまくは行かなかっただろう。

意外にも、日々生産をしている人たちには気が付かない様だ。
仕掛品を置く棚の場所を変えただけで、十数%生産効率が上がったこともある。毎日仕事をしていると、その場所が当たり前になってしまい、動かすと言う発想が出てこないのだろう。

コツは簡単だ、作業を見ていてムダな動作をやめればよいのだ。
まとめて作ったほうが得だと言う考えも捨てた方が良い。取り置きのムダが発生する。
治工具の交換が発生するので、まとめて作ったほうが得だと、安易に考えない。
どうすれば治工具の交換が早くなるか。
どうすれば治工具を交換しなくてすむか。
と言う考え方をすれば、改善ができる。


このコラムは、2011年3月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第195号に掲載した記事です。

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