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ムダ取り

 生産改善の仕事をするときは、まずモノの流れを見えるようにする。そして作業のムダ取りに多くの時間を割いている。機械化による人員削減を考えておられる工場でも同じだ。
作業改善をせずに機械化してしまえば、ムダも一緒に機械化してしまうことになる。

ボトルネックになっている作業のムダ、ムラ、ムリを省く。モノの置き方、手の動かし方を最適にすれば、2秒3秒とサイクルタイムが短くなる。小さな改善だが、これをすることにより、一緒に改善活動をしているメンバーがこつを飲み込むのを目的にしている。この小さな改善は、現場が継続して行かなければならない仕事だからだ。コンサルの仕事が終わった後でも、改善を継続するためには、現場の改善力をつけなければならない。

各工程のサイクルタイムがタクトタイムに対して余裕が出てきたら、工程間で作業の組み換えをして、作業員を抜いてゆく。省人化により改善の効果が加速してくる。この段階で半自動化を検討すると、効果は更に加速する。

4人で分担していた作業を、半自動機でナガラ化し3人減らしたこともある。
前段で、工程の流れをすっきりさせ、作業のムダ取りをしなければ、うまくは行かなかっただろう。

意外にも、日々生産をしている人たちには気が付かない様だ。
仕掛品を置く棚の場所を変えただけで、十数%生産効率が上がったこともある。毎日仕事をしていると、その場所が当たり前になってしまい、動かすと言う発想が出てこないのだろう。

コツは簡単だ、作業を見ていてムダな動作をやめればよいのだ。
まとめて作ったほうが得だと言う考えも捨てた方が良い。取り置きのムダが発生する。
治工具の交換が発生するので、まとめて作ったほうが得だと、安易に考えない。
どうすれば治工具の交換が早くなるか。
どうすれば治工具を交換しなくてすむか。
と言う考え方をすれば、改善ができる。


このコラムは、2011年3月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第195号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

正論は暴力になりうる

 コロナ禍の閉塞感に感じたことはいくつもある。それらの共通点を見つけるとすると「正論は暴力になりうる」ということではなかろうか?
「自粛要請」という名を借りた飲食店の酒類提供自粛、夜間営業自粛これらの「要請」により売り上げ減少により経営破綻した人、収入をたたれた人、など多くの困窮者が出ただろう。また夜間働く人々は深夜食堂の営業自粛により、空腹難民となったことだろう。

「コロナの拡散防止」の正論のもとに科学的根拠の薄い要請は社会的暴力と言えるだろう。市民同士でも根拠のないデマが正論の元に拡散し暴力となる。

「〇〇すべき」もしくは「〇〇すべきでない」という文言には注意が必要だ。

これは社会問題だけではない。
我々の仕事の中にも、暴力とは言えないかも知れないが、根拠のない常識がまかり通っていることはないだろうか?

代々伝わっている「べからず集」の中には、陳腐化したまま厳守されているモノも有るだろう。これらを家訓の如く信じ込んでいると、時代の流れに取り残される。深刻な被害がなくともなますを吹いて食べる様な無駄に気がつかなくなる。

若者、よそ者、馬鹿者が世の中に変化を起こすというが、常識を超えた改革をもたらすのは、正論に立ち向かう勇者だろう。


このコラムは、2021年12月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1229号に掲載した記事です。

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マニャーナの法則

 本を読んでいて「マニャーナの法則」という言葉に出会った。
「明日できることは今日するな」という法則の様だ。法則というよりは仕事術と言ったほうがよさそうだが。

なぜこの言葉が気にかかったのか、言葉の意味を調べても分からなかった。
さらに調べると「マニャーナ」がスペイン語だとわかり、突然「アスタ・マニャーナ」という言葉が頭の中に響いた。随分以前の話だが、メキシコに出張した折に「アスタ・マニャーナ」とか「アスタ・ルエゴ」という言葉を何度も使っていたのを思い出した。仕事が終わって帰る時の挨拶だ。「明日またーね」と覚えた(笑)

明日できることは明日に回す、というマニャーナの法則はどうも馴染めない。馴染めなくとも現実は今日できる仕事も、何らかの理由で締め切りギリギリになってしまう、ということはしょっちゅう体験する。

また仕事の分量が読めずに、明日に回した仕事が1日で終わらないこともある。

ならばどのくらいの仕事量なのかと試しにちょっと作業をしてみて、明日でも間に合うと判断したら、明日まで中断する。これも非効率である。いわゆる「取り置きの無駄」が発生するからだ。

子供の頃からアリとキリギリスの逸話を聞かされ育った私たちにはマニャーナの法則は馴染めないのかもしれない。


このコラムは、2022年6月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1301号に掲載した記事です。

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ヒト造りの力

以前このメルマガで常盤文克氏の「ヒトづくりのおもみ」という本を紹介した。

先週はそれを実感する出来事があった。

広東省恵州市にある工場を訪問した。私が尊敬している大先輩が以前総経理をしていた工場だ。この工場に生産管理板の使い方をプレゼンテーションに行った。

この生産管理板は、生産計画数、生産予定数、生産実績数がそれぞれLEDで表示してあり、予定に対して実績が遅れると赤色のアンドンが点灯する様になっている。これをたんなる生産数量管理に用いるのではなく、問題点の看える化をし現場の継続的な改善力養成に活用しよう、というプレゼンテーションだ。

これをご覧になった工場の若いスタッフの方たちが、食堂の「満足度表示」の電光表示板と似ている、と感想を漏らした。

そこで思い出した。
私の大先輩の部下だった中国人副総経理がこの工場に去年転職している。大先輩の工場では食堂に「満足度表示」の電光掲示板が掲げられているのだ。

大先輩は部下を育てることにより、古巣の工場にも貢献されている。ヒト造りの力を再認識した。


このコラムは、2009年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第85号に掲載した記事です。

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「改善のプロ」派遣します 日産、ムダの省き方伝授

「改善のプロ」派遣します 日産、ムダの省き方伝授

 日産自動車は経験豊かな生産現場の「改善のプロ」を、異業種にも活用してもらうコンサルティングビジネスを強化する。当初は取引先の部品メーカーの生産効率化が主眼だったが、無駄をなくす取り組みはあらゆる業務やサービスに応用できると判断した。

 日産の研修施設「日産ラーニングセンター」の指導員10人を、企業の希望に応じて派遣する仕組み。いずれも生産ラインの効率化などに取り組んできた50~60代のベテランだ。日産は生産工程を細かく分け、作業時間や在庫を管理して無駄を省く手法を採り入れており、そのノウハウを異業種の業務改善にいかす。

asahi.comより

 いわゆる「トヨタ方式」が業界を越えて色々な業種の作業、サービス改善に役立っている。トヨタ方式を他業種に展開する「NPS研究会」には、お菓子から工場オートメーションシステムまでのモノ造り、レストランなどの非製造業が参加している。

日産のこの取り組みも、

  • コールセンターの採用面接。
  • 病院の待ち時間削減。
  • レストランの食料在庫の削減。
  • 保育園での作業改善。

に役立っているという。

モノ造りの業界で高度に発達した品質改善、作業改善手法が広く異業種にも活かされるべきであろう。


このコラムは、2009年7月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第105号に掲載した記事です。

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無料工場診断

 今回は縫製工場を訪問した。

華南地区は元々ニット系の服飾品生産が多かったようだが、香港系、中国系の工場が廃業に追い込まれたりしている。又力のある会社はベトナムなどに転出しており、同業者が減っているという。

訪問した工場は、自社ブランドを持ったメーカなので比較的優位な経営環境にあると思われる。しかしOEM生産主体の工場は厳しい価格競争と、労務費の上昇の両面のプレッシャーに耐え切れないところが出てきてしまったのであろう。

生産現場を見せていただくと、工業製品の生産というよりは、工芸製品の生産といったほうがぴたりと来る現場である。とはいえ必ず工業製品の生産性改善手法・コストダウン手法は適用可能である。
まずは生産工程の整理整頓をしモノの流れを見えるようにする。その上で制約条件となっている工程から順番に改善を進める。
そんなアドバイスをしてきた。


このコラムは、2008年9月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第50号に掲載した記事です。

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改善提案制度

先週の記事「カイゼン活動」について読者様からご感想をいただいた。

カイゼン活動の記事を読んで感じたのですが、中国企業でカイゼンを定着させるのはなかなか難しいですね。(私のやり方が悪いだけかも知れませんが・・・)
 
弊社でも改善提案制度を制定し、最初はそこそこ提出されていましたが、最近ではピタリと止まってしまいました。
 
良い提案には賞金を出し、部署員の前で表彰したり、「会社の為では無く、自分の為だと思って提出して下さい」という内容で周知もしましたが、なかなか定着しません。
 
 定着に向けて、まだまだ試行錯誤が必要です。

この読者様の工場に早速「無料工場診断」に押しかけた(笑)

電子応用製品の生産をしておられる工場で、古い設備をきちんとメンテナンスして使いこなしている立派な工場であった。
中華系の工場は最新設備にドンと投資をするが、きちんとしたメンテナンスができていないところが多い。こういう工場からは「モノ造りの心」が伝わってこない。
たとえ設備が古くても。設備・治工具などきちんとメンテナンスし、自分たちの工夫を入れ込んだ工場のほうが高い技術力が感じられるものだ。

早速日本人幹部、中国人幹部の皆さんと生産現場を一回りした。生産現場で具体的な改善方法を提案させていただいた。
3時間ほどの短い時間であったが中国人幹部の皆さんに改善の勘所をお伝えできたと思っている。

直接現場のリーダや作業員を指導している中国人幹部の皆さんの改善に対する理解が深まれば、改善提案制度も活性化するのではないだろうか。今回の訪問で具体的な改善以外にも改善提案制度の活性化にもお役に立てれば、望外の喜びである。

またこの工場はR&D部署を持っておられ、政府からハイテク企業の認定を受けている。ハイテク企業に認定されると、税制などの優遇も受けられる。私自も大変参考になる工場であった。


このコラムは、2008年6月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第40号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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続・F1プロジェクト

先週のメルマガに対して読者様からご感想をいただきました。ありがとうございます。

中国の人に対して、自分が伝えたいことを100%伝える為にはどうすれば良いか、私も日々苦悩しております。

F1プロジェクトのお話しは、言葉の壁、考え方の違いがある中国の人に対して、どうやって分かりやすく物事を伝えるか、また、理解してもらうかの実例として、非常に参考になりました。
この様な説明手段は、その人の経験とセンスがかなり重要で、同じ内容を伝える場合でも、その手段は人によって全然違ったものになりますね。また、資料の準備には努力を惜しまないということも、非常に重要ですね。

以前「チームワーク」を中国人のリーダに教えようとして野球を例にとって話を始めました。しかし誰も野球を見た事がない(汗)
こういう失敗もありますが、相手の目線で説明する事が大切だと思っています。

今週のセミナーで原田則夫さんの「人心管理経営」を紹介しますが、原田氏は説明のしかたがうまいです。「可視化管理」を、管理する側の論理ではなく、現場の従業員の立場で説明します。私も原田氏からたくさん勉強させていただきました。


このコラムは、2008年6月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第36号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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着陸するロケット

着陸するロケット、「価格破壊」は日本の論文のおかげ?

発射したロケットが再び基地に戻ってくる――。SF番組「サンダーバード」に登場するようなロケットを開発したのが、米国の宇宙ベンチャー「スペースX」だ。ロケットが、洋上の船に正確無比に着艦する映像はもはやおなじみになり、再使用により打ち上げ費用は安くなった。だが、その「価格破壊」が危ぶまれる「事件」が起きていたことは、あまり知られていない。

(全文)

(朝日新聞より)

「事件」とはジェフベゾスの「ブルーオリジン」が特許申請した宇宙ロケットの採用技術に対し、イーロンマスクの「スペースX」が先行事例を挙げて特許成立を阻んだことを指している。それだけではない。その先行事例として挙げたのが、宇宙開発事業団(現JAXA)と三菱スペース・ソフトの技術者が米航空宇宙学会誌に発表した「垂直着陸型2段式ロケットの再突入と誘導」という論文だったのだ。

今更歯がみをしても始まらないが、学術論文を発表する前に特許出願をしておけば、スペースXから特許使用料が入り、日本の宇宙産業研究資金となっただろう。

日本人はお人好しが過ぎるようである(苦笑)
「無印良品」が中国で商標権訴訟を起こされ敗訴したのは記憶に新しい。


このコラムは、2020年10月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1051号号に掲載した記事です。

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脅迫メール

有権者にトランプ氏への投票迫るメール

「米有権者にトランプ氏への投票迫るメール、国外のサーバー経由か」

 米フロリダ、アラスカ両州などで20日、一部の有権者に「トランプに投票せよ」と脅す内容のメールが届いたという通報が相次いだ。
フロリダ州選挙管理当局の報道担当者は、この日に数十件の通報が殺到したため、連邦捜査局(FBI)などに報告したと述べた。
フロリダ大学では学生や職員、卒業生ら183人に同様のメールが届いた。

(CNNより)

 以前頻繁に脅迫メールが私のPCに来た。
「お前のパスワードはこれこれだ。このPCにはマルウェアを仕込んであり、PCで閲覧しているエロサイトの画像とそれを見ているお前の顔を収録した。これをさらされたくなければ、仮想通貨でいくらいくら支払え」という脅迫だ。
同様のメールを多くの人が受け取ったようだ。噂によると老齢の女性にも届いたらしい。

今回の脅迫メールは、金品を要求しているわけではない。報復すると言っている。一種の愉快犯なのだろうか?

メールそのものは米国国外から送られているようだ。
トランプに引き続き大統領を続けてほしい勢力があるのだろうか?
または、犯罪的組織がトランプを応援していると匂わせる、反トランプ勢力の陰謀であろうか。

いずれにせよ、トランプ大統領は4年で終わりだろう。米国国民の良識を信じたい。


このコラムは、2020年10月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1052号に掲載した記事です。

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