月別アーカイブ: 2018年3月

不便こそ良薬

 伊集院静「大人の流儀5 追いかけるな」を書籍朗読サービスで聞いた。
伊集院静氏に関しては、早逝の女優の夫ということしか知らず、今まで著作を読んだことはない。しかし朗読をしているのが大杉漣と知り聞いてみた。

「便利なものには毒がある。手間のかかるものには良薬が隠れている」
書籍中に出てきたメールと手紙を比較した言葉だ。
メールは便利だ。CCをつけることにより、同時に関係者と情報を共有する事が出来る。相手の都合に合わせて読んでもらうことができる。電話をかける時に相手の都合を考えるのが煩わしい。電話をかけるのが苦手だ。自筆で手紙を出す手間を考えると、憂鬱になる。

ところで私たちの改善活動は、不便を便利に変える事に他ならない。
不便な作業を自働化する。作業のばらつきを治具化する。これらの改善活動は不便を見つけることがスタートだ。作業員を観察する。作業員から不便を聞き出す。そのために現場に頻繁に行く。
改善のネタは不便の中にある。

不便という良薬には副作用がある。この副作用は医薬品の副作用とは違う。
作業員は、上司が自分の仕事に関心を持ってくれている、自分のために改善をしてくれている、と感じるはずだ。これは大きな副作用だ。

■■ 編集後記 ■■

最後まで読んでいただきありがとうございます。

大杉漣さんは私と同年代です。大杉さんが出演したTV番組はいくつも見た事があり渋い脇役と認識していました。今彼の略歴を振り返ってみると、寺山修司、唐十郎の演劇が役者としての出発点だったようです。私も学生時代に友人に誘われ、訳がわからないまま、それらの演劇を見た事があります。
「吸いさしのタバコで北を指す時の北暗ければ望郷ならず」寺山修司の短歌を暗唱して「文化人」になったつもりでいました。

大杉漣さんの早すぎる死を悼み、ご冥福をお祈りします。


このコラムは、2018年3月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第639号に掲載した記事です。

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QCC活動の効果

 今14チームのQCC活動を指導している。概ね完了し、後は成果発表会となる。14チームのうち第一期の4チームは二期連続で活動に参加してくれた。

初めは、こちらが「どうしよう」と頭を抱えてしまうこともあった(笑)
例えば、特性要因図を書かせると人が見ても全く意味がわからない。連関図の同じ列に根本原因と流出原因がつながっている。パワーポイントの使い方が良く分からない。そんなレベルで開始した。

それでも1回目の活動から年間効果金額十数万元から数百万元の成果を出す事ができた。2回目の活動ではQC手法の使い方も様になってきた。

そんな中で、最終発表資料の添削をしていて、思わず目頭が熱くなってきた。
発表資料の最終ページに「総括」として自分たちの進歩を以下のように書いてくれた。
「作業員の品質意識が高まった。
 作業員が問題発生時に自分の見解を言えるようになった。」

活動をした彼ら自身だけでなく、改善対象となった職場の作業員が成長したと言っているのだ。

普通に考えるとそんなことあるはずはない。
QCC活動に参加した職場の管理職や監督職が、頻繁に製造現場に来るようになり自分たちの作業を見てくれる。作業者達は、職場の上司たちが自分たちの仕事に関心を持ってくれ、作業しやすいように改善してくれている、と感じたに違いない。それが作業員までもがモチベーションが上がり、品質意識の向上につながったのだろう。

初めてQCC活動を始めた時にはどうしようかと頭を抱えたチームがここまで来たと実感できた時に、言いようのない喜びを感じた。

他のチームは、QCC道場に参加したメンバーが、社内でそれぞれにチームリーダとなりQCC活動を全社展開している。

QCC道場に参加してくれたメンバーが成長することは当然だが、このようにしてそれぞれの会社に「改善文化」が根付いてゆくのを見ることができ、高揚感を味わっている。

QCC道場は4月から第三期を開始する。


このコラムは、2018年3月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第635号に掲載した記事です。

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大学生の中国工場視察

 日本の大学生のために,企画した香港・中国視察旅行のお手伝いをした.
日本の若者が広く海外に目を向け,卒業後のキャリア形成の一助とする企画だ.

私は,中国工場視察のプランニングと当日の引率を担当した.

最近日本の若者から覇気が感じられないと思っていた.毎年明治大学の経営学部3,4年生に特別講義をさせていただく機会がある.授業の前に経営者になりたい人の挙手を求めているが,昨年はついにゼロだった.

経営学を勉強したら,皆経営者にならなければならないと言うことはないが,経営者になりたい人がゼロと言うのは残念な結果だ.(講義後のレポートを見ると,経営者を目指している人も何人かいた.ただ彼らがシャイなだけだったのかもしれない・笑)

若者に夢がないのは,我々の世代の責任なのだろうと思う.
お父さんが毎日疲れた顔をして会社から戻ってくる.子供に自分が夢を目指して働いている姿を見せていない.そんな大人を見て育った若者に,夢を持てと口先で言っても心には響かないだろう.

若者に夢がないということは,今不景気だと言うよりもっと深刻な危機状況だ.不景気なのは今だけだが,若者の夢は未来に影響を与える.

しかし今回中国にやって来た15人ほどの若者は違っていた.
ただ単位が取りたくて学外研修に参加したわけではない.学外研修に自費,または親に金を出して貰って来ている.明らかに目の色が違った.

そんな彼らを,中国企業の工場に連れて行った.
たぶん工場見学など,小学校の社会見学以来だろう.どんな工場でも良かった.狙いはその工場の経営者を紹介することだった.

弱冠33歳の経営者は,10年前に日系の工場から独立し,仲間3人と金型を作る工場を始めた.
この10年間で仲間と共に夢を実現してきた姿を見てもらいたかったのだ.

彼らは,香港でも私が尊敬する日本人経営者たちと直に懇談してきた.
皆さん「香港ドリーム」を実現してきた経営者だ.

今回の視察旅行に参加してくれた学生たちが,人生の夢を見つけ,すばらしい仕事を見つけることを期待している.


このコラムは、2012年3月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第249号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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QCC活動の成果

 現在QCC活動を3組(7社、14サークル)同時に指導している。今週末に最終発表会を合同で行う事になっている。この発表会には日本本社の役員も参加する。
チームメンバーだけではなく、各社の経営者も相当意欲が高まっている(笑)
各組とも最終発表会に送り込む代表チーム選抜の審査を行っているところだ。

先週は2組の選抜審査発表会を開催した。
1組は今回初めてQCC活動を実践した。もう1組は2回目だ。

QCC活動の成果で一番明確なのが活動テーマによる改善効果だ。

今回2回目の取り組みとなった組は、1回目の活動で年間改善効果金額数百万元を出すサークルが2チームあった。これはビギナーズラックというより、今まで何もしていなかったから改善の余地がたくさん残っていたという事だろう(笑)
2回目の今回は年間改善効果金額が数万元から数十万元となっている。

活動メンバーの成長もQCC活動の大きな成果だ。
原因分析は特性要因図(魚骨図)を書いて要因をたくさんあげ、その中から主要要因を探す、という手法をとるチームが多い。
しかし今回初めて参加したサークルは、要因を実験により、原因かどうか検証する方法をとった。検証にはχ二乗検定という統計手法を使っている。
実はこの手法は1回目の活動時から、こういう方法があるよ、と教えていたがどのサークルも尻込みして使わなかった。新参サークルが活用した事で他のサークルも統計手法の活用に意欲を持ち始めている。サークル間の競争意識が、成長意欲につながる。

改善そのものによる成果は一度きりだ。
しかしメンバーの成長や改善意欲の向上により、改善成果は継続する。

QCC道場は4月から第三期を開始する。


このコラムは、2018年3月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第636号に掲載した記事です。

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