しかしちょっと考え直さなければならないと感じている.
いつも通っているジムで,サウナの主電源を入れてくれるように受付の女性に頼んだ.なかなかスイッチを入れに行かないので催促をすると,配電盤のあるほうに出かけた.しかしいつまで待っても電源が入らない.
痺れを切らせてもう一度頼みに行くと「スイッチを入れるように頼みました」と答える.
ここで初めて気がついた.この女性はサウナの主電源の入れ方を知らないのだ.このジムで働き始めて1年近く経っているのに知らない.
この女性の仕事は受付にニコニコして座っていることであり,その他のことは教わっていないし,自分から知ろうともしない.
経営者もこの女性に受付以外の仕事をさせようとは思っていないようだ.
台湾資本の工場を指導していた時に,社内の部署をまたがってプロジェクトを統轄する職位が必要だと台湾人経営者に進言した事がある.
経営者は,ではそういう職員を雇おうという.私は内部登用を考えていたが,彼は新しい職種だから新しい人を雇うという.
職員を仕事を通して育成しようという考えが感じられない.
それに呼応して職員も言われた仕事以外には手を出さなくなるのだろう.
従って自分のキャリアアップを考えている優秀な層は,次々と会社を変わってゆくことになる.
日本語人材の採用面接でどんな仕事をしていたか尋ねても,会議の通訳,レポートの翻訳としか答えられない人が大多数だ.その会議やレポートはどんな内容なのかという本質部分を理解しているようには見えない.
日本語が出来るだけでは社長にはなれない.
一つの部門を任せることもできない.日本語+アルファのアルファの業務能力がすぐれてなければ部門のトップにはなれないだろう.
これからは中国でもマルチタレントの時代になるはずだ.製造現場では多能工でなければ生き残れないだろう.
間接職員はなおさら単機能人材では生き残れない.
これからは通訳という職種を廃止して,日本語が出来る○○職という人材を育てなければならないと感じている.そういう人材が他の会社でも通用する優秀な人財となる.
「雇用の確保」というのは自社で雇用し続けることではなく,他の会社でも高給で雇ってもらえる能力を付けてやることだと考えるがいかがだろうか.
このコラムは、2009年8月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第109号に掲載した記事です。
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