フォックスコンの自殺騒ぎを何度かこのメルマガでお伝えした.
農村から出稼ぎに来た若者が,孤独感,未来に対する不安に負けて,大切な命を自ら捨ててしまう行為に走っている.
この様な弱い気持ちを克服するのは,働く意欲だ.
自分は何のために生まれてきて,何のために働いているのかと言う「夢」を持てなければ,働く意欲はわかないだろう.
一昔前の打工妹たちは,弟や妹の学費を稼ぐため,家族の生活を支えるためと言う強い使命感が,働く意欲を支えていた.
しかし農村も豊かになってきており,80后,90后と呼ばれる若者にはその様な使命感は薄くなってきているのだろう.
残業よりは余暇を好む.故郷に仕送りする必要がなく,高価な携帯電話を持っている.中国の若者が変わってきてしまった.
この様な若者たちにどのような「夢」を与えれば,働く意欲を持たせることが出来るのだろうか.
実はそんなに難しいことではないと考えている.
彼らに必要なことは,仕事を通して成長する,仕事を通して会社や同僚から認められる,仕事を通して自己実現することの喜びを知ることだ.
「自己成長」により自分の夢を実現する.そんな夢が持てれば働く意欲は高まるはずだ.
原田氏の経営哲学・人心活用の基本はここにある.
原田社長の最後の秘書だった閻苗苗さんは,作業員として生産現場で仕事をしていた時のことをこの様に回想している.
一週間の新人研修を経て,配属になった生産ラインからはオフィスが見え,そこには社長秘書が原田総経理や部長たちから指導を受けている光景があった.いつかは自分もあそこに座って仕事がしたいと思った.
そして彼女は,作業の合間に猛然と勉強をし内部登用試験に合格し,めでたく総経理秘書となるのだ.彼女の働く意欲を支えたのは,いつかは直接原田氏や部長たちから指導を受けたいと言う夢だったのだ.
このコラムは、2010年6月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第479号に掲載した記事に加筆しました。
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