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靴下の拡販

先週のニュースで、国内ががんばり続けている靴下メーカが「滑らない靴下」を受験生マーケットに投入した話を、ご紹介した。
滑り止め機能付きの靴下を受験生に売ると言うアイディアはすばらしいが、市場規模が小さすぎる懸念がある。そこで、日本国内でがんばっている靴下メーカを応援するために、滑らない靴下を拡販するための新たな市場創造のアイディアを読者様に求めた。

二名様からアイディアをいただいた。ご紹介したい。

※上海のN様のアイディア
いつもメールマガジン楽しみ読ませてもらっています。
今回の「滑らない靴下」を継続的に購入して頂ける方法を考えてみました。
なかなか参加できないですが、東莞和僑会メンバーなので投稿します!

  1. 「すべらない靴下」のポイントは「使用者」と「購買者」が分かれている事がポイントだと思います。
    受験生がすべらない靴下を買うと考えると購買機会が限られてしまいます。しかし、両親、祖父母、親戚、友人が「ギフト」として贈ると考えると購買機会はぐっと増えます。特に高齢者に訴求できるように、老人ホームや老人会カラオケサークルや俳句会など高齢者が集まりやすいサークルに絞ってチラシやDMをすれば、販路は広がると思いました。
  2. 靴下全体で継続購入してもらえる付加価値として、最近私は1枚900円の靴下を買った経験があります。ユニクロで買えば三足1000円で買えるこのご時世に1枚900円で買ったのは、ロッククライミングシューズ専用の靴下です。
    素足のように薄く、それでいて縫い目が少なく、汗の吸収性、抗菌性が高い靴下です。ロッククライミング自体は日本ではマイナースポーツですが、世界にはたくさんのプレーヤーがいます。クライミングシューズで有名な企業とタイアップして販売すれば、世界的に自社販売網を持っていなくても、販売しやすいかもしれません。

頭の体操として、こんな方法を考えてみました。

※深センのN様のアイディア
こんにちは。
部外者ですが、宿題をもらいました(笑)
・・・・無料で楽しい話題をいつももらってる引け目もあって(爆)

靴下、くつした、さて自分は靴下をどういう視点で見ているか。

  • 足先と踵の部分が擦り減ってきたらそろそろ何か買うかな。
  • スーツだろうがなんだろうが、オヤジ臭い靴下はイヤだ。
  • 柄は女子にモテル系orウケル系、つまり自分では選ばない。嫁や娘に選ばせる。
  • 夏場は若者風の短いの、冬場は暖かめの。
  • 足が臭い、加齢臭が気になる年頃(笑)

こんなことを考えてみると、『女子が選ぶ、お父さん、お兄ちゃん、弟に、息子に履いてもらいたい靴下』 がキーワードかな。

炭効果で臭い防止みたいな靴下を見たことありましたが、デザインがまったくいけてない。

今回の事例、滑らないということは相手側、つまり靴のインナーへの影響はどうなのだろうか。滑らないということはインナーへの負担が心配。

一方女性陣ではどうだろうか、
男性にもてたい靴下選び、とは思わないだろう。
いかにかわいいか、履き心地がいいか、安っぽい生地はいやだ、そんなところだろうか。
ユニクロのヒートテック靴下・・・・、優れているのにかわいいデザインが揃えられていない。

今回の宿題は 『継続的に購入していただける付加価値』 だ、かわいいだけでは長続きしまい。
やはり機能美を追求したい。

  • 保温性に優れ
  • 生地は薄くても長持ち
  • 相手側の靴の種類を選ばない
  • 加齢臭を抑制できる
  • お客様のデザイン提案に対応できる(デザインオーダーメード)

・・・・過日のシルシルミシルで今は靴下裁縫は自動機なのでデータがあればデザイン対応できると見ている

そんな企画を提案します。

ソーシャルモノ造り分科会のメンバーは,必ず宿題提出などと書いたので誤解をさせてしまったかもしれない(笑)私は、このメールマガジンの読者様全員を、仲間だと思っている。

たかが靴下、それをどうすれば売れるか考える。
良い頭の体操になったのではないかと思う。

お二人に共通している「靴下は使用者本人が買うのではない」と言う指摘は、なるほどと関心した。何度か靴下を自分で購入したことがあるが、出張中・単身赴任のため、やむを得ず自分で購入した。普段は家内が買って来る。と言う事は男性用靴下を選択しているのは、女性が大半を占めていると考えた方が良いかもしれない。

私の場合、衣類もほとんど女性陣が選んでいる。家内、娘だけではない、母親も含まれる。推定年齢88歳の母親でさえ、未だに「かわいい」は重要らしい。靴下にも、女性目線の「かわいい」を入れる事は重要かもしれない。

靴下のデザインは女性がした方が良い。と言うのが結論になろうか(笑)
デザインに関しては「個」への対応がキーワードになると思っている。世界に一つしかない靴下だ。IT技術と、生産の電脳化が出来れば、意外と簡単だろう。

もう一つのお二人の共通点は「機能」だろう。
スポーツへの応用は、クライミングだけではなかろう。ランナーも靴の中が蒸れる対策を必要としている。私は蒸れるのを通り越し、汗で濡れてしまう。これを解決すれば、ランナー市場が手に入る。

これを解決出来れば、受験生市場よりは大きな市場となろう。しかもリピートが期待出来る。受験生市場では、リピートは考え難い。幼稚園のお受験を入れたとしても生涯5回しかない。しかも途中で失敗すれば、残りのリピートはない。受験生の合格不合格は企業にとって神頼みであり、企業が努力しても改善出来る話ではない。

保温に着目すれば、スノボー、スキーにも使える。昔はウールの厚手の靴下を着用したモノだが、最近はブーツのインナーが改善されており、薄手の靴下の方がフィット感は良い。

スポーツへの応用を検討する、と言うのが二番目の結論か。

靴下が滑って困ると言う経験をした事がないが、運動能力が低下している老人には良い機能かもしれない。デイケアセンター、老人ホーム等館内はスリッパ着用となっている所も多い。スリッパを止めて、滑らない靴下着用とする。と言うアイディアを思いついた。

最後の結論は、お年寄り御用達。

大変面白い議論が出来たと思う。こんな所から実ビジネスのアイディアに発展すれば、もっと面白いが、少なくとも頭の体操が出来た。頭も筋肉も、使えば使うほど鍛えられる。またこんな企画を考えてみたい。


このコラムは、2013年10月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第331号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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「滑らない」靴下

受験「滑らない」靴下、本当に滑らない 特殊技術に自信

 【小林正典】受験生に「滑らない」靴下を──。靴下の産地、奈良県大和高田市にあるメーカーが「合格印ソックス」を開発した。単なるだじゃれにあらず。特殊な滑り止めの技術は共同特許申請中。地元の神社で合格祈願してもらった「ほんまもん」だ。

 靴下の滑り止めは従来、足裏部分に外側から樹脂のいぼを付ける手法がほとんど。ただ、長時間歩くと足裏が痛くなることも多い。ポツポツの浮かぶデザインがやぼったい、と若者にも敬遠されがちだった。
 「西垣靴下」では、滑らない素材、ポリウレタンを編み込む新技術を素材メーカーなどと開発。滑らない糸は編み機に引っかかりやすく、編むのが難しいとされてきたが、この技術により靴下の中でも足が泳ぎにくくなった。

 技術を生かすアイデアは若手社員から出た。3月の開発会議で、当時入社1年目の雁野(がんの)ほのかさん(23)が「滑らないといえば受験」と提案。地元の神社「龍王宮」の協力も取り付けた。白と紺のほか、アーガイル柄4色の計6種類。神社名にちなみ、昇り竜の銀色のマークを付けた。
 雁野さんは「私も受験の時は苦労した。靴下は実際に身につけて臨めるので、心強いはず」。関連会社「エコノレッグ」がインターネットを中心にミニ絵馬とセットで販売中だ。限定400足で、価格は1509円(税抜き)。

 奈良県靴下工業協同組合によると、県の2012年の靴下生産量は、全国の約57%を占め、全国トップ。だが1991年のピークからは約4分の1に減った。西垣和俊社長(55)は「海外の製品と価格競争するのではなく、この商品を入り口に、メードイン奈良の靴下の良さを認識してもらいたい」と話した。

(日経新聞電子版より)

 靴下と言えば、既に中国生産を通り越えてベトナムに行ってしまっただろう。コストだけを考えていれば、こうならざるを得ない。製品の付加価値をいかにして高めるか?と言うのが課題になる。

付加価値と言うのは、機能価値の事だけではない。例えば滑らない靴下が、通常品の倍の値段で売れるか?私自身靴下が滑って困ると言う経験をした事がない。滑り止めと言う機能には、倍の価格を支払う付加価値はないだろう。

ファッション性、話題性など機能とは別の所にも付加価値が生まれる。

靴下と言うのは、実に地味な商品だと思う。文字通り足元を支える物であり、靴下が主役になる事はほとんどない。

以前山梨にある機械メーカを訪問したことがある。駅から工場まで乗ったタクシーの運転手さんが、鮮やかな黄色の靴下をはいていた。ファッション的には,常識はずれのひどい選択だ。目的地の工場に到着して分かった。この街を本拠地としている機械メーカの企業色が黄色だったのだ(笑)社屋の外壁が全部黄色だった。

靴下が自己主張する場面と言うのは、極わずかだろう。
そんな気の毒な靴下に機能以外にアイデンティティを与えたのが受験靴下だ。しかし残念ながら、ビジネスとしての規模を持てるかどうかはかなり微妙だ。受験生向けの商品で話題を作り、会社を認知していただく。その後継続的に買っていただける商品を開発する事が必要だ。

さて、靴下と言うコモディティ商品をどうしたら継続的に購入していただける付加価値を持たせることができるだろうか?あなたもぜひ思考訓練をしてみていただきたい。
アイディアはこのメールに返信する形で送っていただきたい。優れたアイディアは、このメールマガジンで紹介したい。

なお、ソーシャルモノ造り分科会のメンバーは率先してアイディアを投稿いただきたい。一人一件ノルマだ(笑)


このコラムは、2013年10月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第330号に掲載した記事を改題・加筆しました。

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アメーバ経営

 偉大な日本人経営者の名前を挙げるとすると、松下幸之助、盛田昭夫,本田宗一郎、稲盛和夫の4人だろう。起業した会社を日本を代表する大企業に育てている。多くの日本人経営者は、自分の「生業」ともいうべき事業の経営で成功しておられる。しかし経営四天王の内最も若い稲盛氏は,セラミック、光学機器,通信事業、航空運輸と全く違う業態の経営を成功させている。

いってみれば、事業技術ばかりではなく経営技術に長けた経営者と言えば良いだろう。日本人にも,企業再生、拡大を請け負う経営のプロがいらっしゃるが、殆どの方が外資系企業出身者だ。

米国では経営のプロが,ソーダ水の次はコンピュータを作る、そんな経営者が普通に活躍している。

稲盛氏は、本業からは離れなかったかも知れないが、どのような業態、業種の経営も対応出来る経営のプロといってよかろう。その秘訣はどこにあるのか、考えてみた。

三田工業や日本航空の再建時に、稲盛氏は「フィロソフィ」と「アメーバ経営」を持って来たと言っている。アメーバ経営とは会社を小さな単位(アメーバ)に分け,アメーバ単位で経営責任を持たせる経営手法だ。日本航空では、路線単位で採算を管理し、不採算路線は廃止または他社との共同運行に切り替える、などの改革を行い一気に業績回復している。

アメーバ経営は、従業員全体の主体性を高める効果がある。パイロット,客席乗務員から整備工まで全ての従業員が,経営者の一員として働くのだ、これで組織が活性化しないはずはない。全従業員が主体性を持ち、活性化すれば業績は改善する。

しかし一方で、アメーバ経営を実現困難とする要因もある。
その一つは、経営に関して素人の従業員に経営を任せること。
もう一つは、アメーバの部分最適になりがちな事。

アメーバ経営のうわべだけを真似しても、上記の様な問題点が浮上し上手く行かないだろう。トヨタのかんばん方式だけを真似しても、かえって生産効率が下がるのと同様だ。

稲盛式アメーバ経営が上手く行く理由を考えてみた。

アメーバ経営のKPIを正確さよりは、公明・公正・公平に基軸をおいて、簡単化する。
そして短期間でKPIのレビューをし,速くPDCAを回す。期単位、月単位のレビューでは、KPIへの影響因子が複雑になる。そのような状況下で正確な経営判断を下すのは、経験のある経営者でも困難だろう。短期間でPDCAを回せば、施策と結果の因果関係が単純になり、経営判断がより簡単になるだろう。

「フィロソフィ」を全従業員に徹底浸透させる事により、部分最適ではなく、全体最適にベクトルを合わせる。

以上の二点を基本として、施作を展開しているのだろうと推測している。


このコラムは、2017年1月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第510号に掲載した記事です。

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親に篤く、故旧を忘れず

yuē:“gōngérláoshènér(1)yǒngérluànzhí(2)érjiǎo(3)jūn(4)qīnmínxīngrénjiù(5)míntōu(6)。”

《论语》泰伯篇第八-2

(1)葸:恐れる。
(2)直:正直、率直。
(3)绞:他人に対して厳しい。
(4)笃:人情が厚い。
(5)故旧:古くからの友人。
(6)偷:人情が薄い。

素読文:
子曰わく:“きょうにしてれいければすなわろうす。しんにして礼なければ則ちおそる。ゆうにして礼なければ則ちみだる。ちょくにして礼なければ則ちせまし。くんしんあつければ、則ちたみじんおこる。きゅうわすれざれば、則ち民うすからず。”

解釈:
子曰く:“丁寧であっても礼にかなっていなければ気苦労になる。慎重であっても礼にかなっていなければ臆病になる。勇敢であっても礼にかなっていなければ乱となる。正直であっても礼にかなっていなければ苛酷となる。
君子が親族への情が篤ければ、民に仁の心が興る。古き者を忘れなければ、民の人情は薄くはならない。