月別アーカイブ: 2019年10月

リーダの育成

今週配信のメルマガ第543号「相互学習支援」に読者様からメッセージをいただいた。

※K様のメッセージ
 私も改善コンサルタントを行なっており、同様の悩みを日々感じています。
過去に質問術とか色々と考えてもらう指導を経験して来ましたが、これもあるレベルの到達していないと難しいことも教えられました。
お客さんのレベル(自分のレベル)をあげていただけるためにどうしたらいいのか悩む日々を送っています。
今後も勉強させていただきます。

同業者様からのメッセージだ。
指導対象のレベルを上げるためには、指導者自身のレベルを上げなければならない。非常に真っ当なお考えだと思う。

まれに「うちの従業員はレベルが低くて」とこぼされる経営幹部がおられる。「レベルが低い」というのは従業員の問題ではなく、経営幹部の課題である事に気がつかれると良いと思う。

質問(以前メルマガで書いたが「発問」といったほうがいいだろう)によって相手に気づきを与えるためには、指導者は「発問能力」を高める訓練を積む必要がある。

以前のメルマガ記事「答えのない質問」

同様に相互学習支援が発生するように「場のエネルギー」を高める必要がある。

コンサルタントのように、外部の人間が顧客企業の従業員を動かして、成果を出すためには何をしなければならないか?どうやれば上手くゆくのか?
私は日々こういうことを考えている。多分K様も同様なのだろう。


このコラムは、2017年8月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第545号に掲載した記事に加筆したものです。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

人財育成

 先週人事系コンサルをされている方の講演に出かけた。多くの経営者が人財育成に関して「モヤモヤ」しているというのだ。人財育成はやらなければならないと分かっているのだが、費用対効果を考えるとモヤモヤする。その証拠に売り上げが下がると真っ先に削るのが教育経費だ。

「モヤモヤ」の原因を自分なりに考えて見た。
企業が人財育成をする目的、達成すべき目標が明確になっていないのが原因と考え至った。

例えばISO9001で定められている年度品質目標に「□□研修◯回開催」などと書かれてはいないだろうか?研修をすることが目標ではないはずだ。研修により何を達成したいのかが目的であり、その達成度合いが目標であるべきだと思う。研修そのものは手段に過ぎない。

例えば、品質不良を半減するため(目的)に改善活動研修を開催(手段)する。
この時の目標は「不良率〇〇%削減」となるはずだ。
又は、作業員の離職率を下げるため(目標)にTWI-JR研修に参加(手段)する。
この時の目標は「作業員の離職率〇〇%減」だ。

人財育成の目的・目標が明確であれば、モヤモヤすることはないはずだ。更に目標を達成した時の費用対効果を考えれば、売り上げが下がる時にこそ研修をやらねばならないこともあるだろう。


このコラムは、2019年3月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第797号に掲載した記事に加筆したものです。

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君子の儒、小人の儒

wèixià(1)yuē:“(2)wéijūn(3)wéixiǎorén。”

《论语》雍也第六-13

(1)子夏:孔門十哲の一人。姓はぼくあざなは子夏
(2)女:汝
(3)儒:学問のある者

素読文:
子夏しかいてわく:“なんじ、君子のじゅれ、小人のじゅかれ。”

解釈:
君子の儒とは、天下国家への貢献、他者への貢献を志すことであり、小人の儒とは、己の満足のためであり、他者への貢献とはならない。

ココロで繋がる組織

 企業経営において方針管理・目標管理が重要であることには誰も異論はないと思う。
方針管理・目標管理と方針と目標を対であげている。目標を上意下達で一方的に下ろすのではなく、方針を共有しそれに合わせた目標を現場の管理職・監督職で決定するという意味だ。

目標そのものを上意下達すれば、それはノルマにしか見えない。しかし方針を上位下達し、現場で目標を設定すれば、現場の必達使命となる。使命とは文字通り命をかけたコミットメントだ。
それほど大袈裟なことではないかもしれないが、社長が鉛筆を舐めた目標よりは、自分たちで議論した目標の方が達成モチベーションは高くなる。

しかしこれだけでは弱い。
目標は期限内に達成したか、達成できなかったは明確に判断できる。
前職時に事業部長が業界ナンバーワンになるために年間売上500億という目標をぶちあげたことがある。500億円という数字には実感が湧かなかったが(笑)しかし業界ナンバーワンという目標には心躍った。しかし上期が終了した時点で、年間500億円は到底無理だと判明してしまった。メンバーのモチベーションは急降下、下期の成績も振るわなかった。

当時金額で目標を設定するから、達成不可能と判明するとモチベーションが維持できないのだと考えていた。

後に自分たちで設定した目標を必達目標とするための「ココロ」が欠けていたと気が付いた。
「ココロ」とは抽象的な言い方だが、組織の存在意義と理解していただきたい。自分たちが仕事をする目的が目標につながっていなかったということだ。

企業には経営目的とか経営理念がある。それが「ココロ」だ。経営目的や経営理念は、今期達成する・しないというモノではない。企業が存続する限り持ち続けるモノだ。

組織のメンバーが「ココロ」を共有し、それに反していない限り目標を達成できなくても、来年頑張ればいい、ということになるはずだ。

残念ながら、業界ナンバーワンという目標は1年で終わった。


このコラムは、2019年9月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第876号に掲載した記事に加筆したものです。

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強い組織は悪人だらけ

 暴力団のように悪人がたくさんいる組織は世間から恐れられる強い組織だ、という話ではない。
中村天風師の説によると、悪人だらけの組織はこうなる。
問題が発生すると「それは私が悪かった」と誰かが言い問題を解決しようとする。
一方善人だらけの組織では問題が発生すると「私は悪くない、誰それの問題だ」と皆がいい、責任の押し付け合いとなり問題は解決しない。

発生した問題を自分事として解決しようと努力する組織は強くなる。
発生した問題を他人事として誰も解決しようとしない組織は強くなるはずがない。天風師の言葉は逆説的ではあるが的を射た真実だ。

もう少し付け加えると、悪事(失敗)が多い組織は悪人だらけで強くなる。
悪事が少ない組織はエセ善人ばかりでどんどんダメになる。
つまり悪事が多い組織は失敗を隠さない組織文化があり、失敗を無くそうと努力するから成長する。
悪事が少ない組織は失敗を隠す組織文化があり、自分は善人であると言い張る。
問題があると他責にする。こういう組織が成長する道理はない。

「ほんとうの心の力」中村天風著


このコラムは、2019年8月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第867号に掲載した記事に加筆したものです。

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二者択一

 何事かを決断する時に、A案かB案か選ばなければならない、こういう状況を二者択一に陥る、とか二者択一を迫られるという。二者択一には「陥る」とか「迫られる」というネガティブな印象がつきまとう。

例えば

  • 〇〇部門のパフォーマンスが下がっているのはリーダのマネジメントに問題 があるからだ。「リーダを変えるべきか否か」
  • 顧客Aの製品は価格が安く利益が出ない。「顧客Aの仕事は断るべきか否か」

このような悩みが二者択一問題と言っていいだろう。問題解決に答えを出すべき人間は悩むことになる。
しかし「二者択一にすることにより、正しい答えに到達しない」と考えるのが正しい考え方ではないだろうか?

部門のパフォーマンスが下がる理由がマネジメントにあるのか?
メンバー側に理由はないのか?
リーダを変えるのではなく、リーダの能力・行動を変えることもできるはずだ。

利益=販売価格ーコストである。「価格が低いから利益が出ない」というのは原因の一方しか見ていない。コストを下げても利益は出る。

どちらの問題も一面だけを見て短絡的に「二者択一」にしてしまっている。
二者択一問題に出会ったら、本当の問題、課題はどこにあるのか冷静に考えることだ。二者択一は問題解決方法ではない。


このコラムは、2019年8月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第864号に掲載した記事に加筆したものです。

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見かけに騙されない

 今週は推理小説の話だ。推理小説を読む楽しみは、犯人を推測しながら読むことだろう。最後まで読み進み、自分の推理が当たった時より外れた時の方が、読後の充実感が高い様に思う。作者の仕掛けた「罠」を見破り真犯人を当てるより、見事に騙される事を期待しているのだろう。

映画やTVドラマの場合は、ストーリィ以外にも配役など仕掛ける罠が増える。悪役専門の役者さんが出ていれば、潜在的に犯人と考えてしまう。制作側はこういう見かけの罠を用意して、結末で視聴者に「騙された」という爽快感を提供する。

我々の不良改善や生産改善も同様だ。(とここでいきなり本題に戻る・笑)

例えば「人為ミス」というのは、見るからに本ボシの役者さんだ。しかし騙されてはいけない。真犯人は別にいる。

ボトルネック以外の工程を改善しても成果は出ない。実行犯のチンピラを逮捕するより、本当の悪玉を見つけなければならない。

ホシはそこにいる。ホシが見えないのは、雲がかかっているか、太陽の光があるからだ。
本当の解決課題も陰に隠れていたり、逆光で見えないことがある。


このコラムは、2019年7月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第847号に掲載した記事に加筆したものです。

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